(缶詰時報 2003年11月号掲載)
年になってから日本各地で強い地震が頻発しております。5月の宮城県沖地震では、田舎の70才の母が「こんなに強い地震は生まれて初めて」と言ってたほどです。被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。建物の崩壊や火災などが生じてはいますが、予想よりも被害が少なく、特に亡くなられた方が少ないのは、日頃の防災意識も手伝っていると思います。

かし、国内で震度4以上の地震が起きていない地域はほとんどないのに、大地震が予想されている首都圏および東海地域では不思議と大きな地震が起きていません。いつ起きてもおかしくないと考えている人がほとんどだと思いますが、日常の生活にかき消されています。予想よりも今年の地震の被害が少なかったのは運がよかった面もあります。首都圏では過密、高層化が進み被害が大きくなる悪条件が多いので心配です。

震の時の非常食といえば缶詰です。インターネットで調べても、多くの国の地震マニュアルで缶詰が最初に掲げられています(市場ではイージーオープン蓋がほとんどだと思いますが、缶切りも必需品になってます)。缶詰は電気・水道・ガスなどが止まってしまい調理できなくても食べられるのが大きな理由だと思います。また、エネルギーがなくても保存できるのはやはり便利です。地震ではありませんがニューヨークの停電では冷凍庫が使えなくなり冷凍食品は大損害を受けました。

詰が非常食の定番なのは、将来も変わらないと思います。しかし、食習慣や加工技術の変化に応じて非常食としても進化(あるいは特化)も必要だと思います。日常での便利さを追求すれば、地震などの非常時にも役に立つかもしれませんが、非常食として考えた場合に、改良すべき点は残されていると思います。一例にすぎませんが首都圏では非常食を保管しておくスペースがあまりありません。マニュアルによると非常食として最低3日分の食料と水が必要だそうです。最近の地震ではコンビニなどの食料品店が食料基地として機能したそうですが、需要が供給量を大幅に上回ったらどうなるでしょう。自治体でも非常食を確保していますが、必ず手に入るとは限らないと思います。最悪のことを考えると、やはり自宅に備蓄してないと心配です。ですから非常食にはコンパクト性をさらに追求して欲しいです。さらに、日常の食生活は多様化、細分化されていますから、贅沢かもしれませんが非常食にもこれらのことが求められると思います。

 (食品工学研究室室長 戸塚英夫)


<2003年9月の主な業務>

試験・研究・調査

  1. 高温性嫌気性細菌芽胞の調製と耐熱性試験
  2. アルミレスパウチの性能評価試験
  3. マグロ缶詰の香気成分と加熱殺菌との関係
  4. レトルト調理食品の品質評価法の検討
  5. 熱伝達シミュレーションへの並列分散処理の応用
  6. UHT処理による耐熱性細菌芽胞の死滅速度
  7. インターネットによる情報管理

依頼試験

新規受付28件、前月より繰り越し26件、合計54件、うち完了26件、来月へ繰り越し28件
主要項目;異物検定、原因究明(変色・内面腐食)、成分分析(栄養成分)、細菌接種試験、菌株同定、カビ同定、添加物の抗菌効果評価、菌数測定、変敗原因究明、微生物耐熱性試験、菌株分与、容器性能試験、シール強度測定、ピンホール検査、熱伝達試験、FDA登録関連業務、証明書作成、通関統計データ処理

その他

  1. チルド食品・食品包装プロセス研究会業務(情報誌作成、会議準備、事務業務)
  2. 主任技術者講習会(殺菌:講師担当、資格査定)
  3. 展示会、セミナー(果汁技術研究会聴講、分析機器展調査)
  4. 会議(技術賞選考委員会、大日本水産会事業委員会、日本水産学会利用懇話会、日本缶詰びん詰レトルト食品協会ビジョン検討会)
  5. 会員サービス(電話、電子メール回答、来訪対応、会員工場、研究所訪問など)

登録:2003/11/11
Copyright (c) 2003, (社)日本缶詰びん詰レトルト食品協会 Japan Canners Association