(缶詰時報 2004年12月号掲載)

詰製造原理の誕生200周年を迎えた2004年。そして201年目へ歩みを進めようと年の瀬を迎えました。

200年−その計り知れない歳月を経る間に誕生した缶詰を彩る名優達の存在も忘れることはできません。例えば、缶詰ラベル。2002年に東方出版(株)より刊行された『缶詰ラベル博物館』には、明治10年から昭和40年代初頭にかけて紙に印刷され、日本で製造された缶詰ラベルが2,331点収載されています。まさにその缶詰の全てを映し出す鏡とも言える缶詰ラベル。何度見てもその芸術的な美しさに感動を覚え、眺めているだけでも缶詰のおいしさの世界へと引き込まれます。

期の頃、「おのとハンマーで開けてください」と記されていた缶詰。時には、食料品店の店頭で開缶してもらってから自宅へ持ち帰られていた缶詰。一説によれば、缶切りの登場は1858年頃と伝えられています。缶切りは登場しましたが、必要な時に手元になくては意味がありません。1959年、オハイオ州に住むアーマル・フレイズがビールの缶を携えて家族でピクニックに出かけた際、チャーチ・キーと呼ばれるてこの原理を応用した飲料缶専用の穴開け器を忘れてしまいました。一策として車のバンパーで缶を開けましたが、気分爽快どころではない大量の泡が吹き出します。

そこで、金属の成型とスコアリングに豊富な経験を持つ彼は、他に方法があるにちがいないと缶に開口レバー、つまりプルトップを付けるというアイデアを試します。その後、より安全に便利にと試行錯誤が繰り返され、缶切り不要の多種多様な製品が開発されました。

録に残されているものから記録には残されていないものまで、200年にわたる星の数ほどの缶詰にまつわるエピソードに思いを馳せます。

11月11日、12日の2日間にわたり第53回技術大会が浜松で開催されました。24編の研究発表に加え、特別講演、さらに今年は缶詰誕生200周年記念講演が行われました。発表は専門多岐にわたりますので、私には難しく理解できない内容も多々ありますが、安心とおいしさにあふれた食卓はこうした研究開発によってしっかり支えられているのだと改めて感じました。

くの名優達によって織りなされる缶詰の歴史。そして、どんな未来が訪れるのでしょうか。

 (情報管理研究室 加藤睦美)


<2004年10月の主な業務>

試験・研究・調査

  1. コーンスープの粘度低下に関する研究

  2. 接種試験用ボツリヌス菌の諸性状

  3. 好熱性嫌気性細菌の芽胞形成用培地の検討

  4. デンプン懸濁液の連続流動殺菌

  5. 食品の回転殺菌における熱伝達

  6. オンライン情報検索

  7. インターネットによる情報管理

  8. データベースの実用化

依頼試験

新規受付33件、前月より繰り越し23件、合計56件。うち完了31件、来月へ繰り越し25件。

主要項目:貯蔵試験、原因究明(変色、異物、ピンホール)、揮発性成分分析、栄養成分分析、金属定量、微生物接種試験、菌株同定、変敗原因究明、菌数測定、菌株分与、容器性能試験、英文証明書作成、文献複写、通関統計データ処理

その他

  1. 缶・びん詰、レトルト食品フェア事務局業務

  2. 殺菌管理主任技術者講習会関係業務(試験問題作成)

  3. (財)東洋食品研究所顧問会出席

  4. 長野県産業大学校講座講師担当(長野市、長野県食品工業試験場)

  5. ミカン缶詰技術研修会講師担当(川西市、東洋食品工業短期大学)

  6. (社)日本食品衛生協会主催HACCP責任者養成研修会講師担当(静岡市)

  7. 食品包装人材育成研修会講師担当

  8. 日本清涼飲料研究会第14回研究発表会聴講(東京)

  9. 食品包装プロセス研究会関連業務(会議開催準備、情報誌原稿作成)

  10. チルド食品研究会関連業務(情報誌原稿作成)

  11. 「缶詰クッキング」Lモードメニューコンテンツ提供関係業務

  12. FDA管理サービス関連業務

  13. 会員サービス他(技術指導、文献調査、見学、電話、電子メール回答)


登録:2004/12/14
Copyright (c) 2004, (社)日本缶詰びん詰レトルト食品協会 Japan Canners Association