(缶詰時報 2005年12月号掲載)

和33年が舞台ということで、同年に生まれた私達は「ALWAYS 三丁目の夕日」という映画の前売りチケットを買って、封切り初日に見に行った。原作のコミックと異なり、映画では昭和33年の春に始まる物語が一連のテーマで人情味豊かに進んでいった。内容について詳しくは書かないが、建築中だった東京タワーは季節が変わるにつれて次第に高くなるのが特に印象的であった。映画を見ながら同年9月に生まれた私は、東京タワーと次第にシンクロしていた。綿密な時代考証とCGで再現された昭和33年は、古びた感じに表現されており、新品のものはなかったのかという疑問を感じたものの、たぶんそうだったのだろうという信憑性があった。映画に缶詰そのものは登場していなかったが、乾物屋の表看板に大きく「缶詰」と書かれており、店の主力製品であることをうかがわせた。

和30年代、特に昭和33年は、日本のライフスタイルの変換点であった。現天皇陛下のご成婚決定、プロ野球での金田と長嶋の対決、全盛期の力道山や若乃花、そしてテレビの普及。また、一万円札、宝くじの登場。国立競技場、関門トンネルなどの完成。食品業界でも、インスタントラーメンが発明され、缶ビール、ドレッシングなどが初登場している。

和33年の缶詰時報を調べてみると、新年号は400号記念号であり、創刊時の思い出から缶詰業界発展の誓いなどが書かれていた。5月に開かれた缶詰大会では、缶詰は日本の輸出品目の4位であり、外貨を獲得する主力産業であるという来賓の祝辞が誇らしげに掲載されていた。まさに「缶詰の黄金期」という勢いがあった。8月には急増する製缶会社の協調をはかるために日本製缶協会が創設された。また前年発売された缶ジュースが大きなブームになっていた。技術関係では、Dr. Ball と Dr. Olson の"Sterilization in Food Technology"についての速川氏の解説記事などが連載されていた。

後に映画館についての四方山話を。今現在、ほとんどの映画館はインターネットでの座席予約システムが導入されており、前売りチケットを買った場合に良い席の確保に苦労した。昭和33年には想像できない、さすが21世紀は未来社会!!

(食品工学研究室 戸塚英夫)


<2005年10月の主な業務>

試験・研究・調査

  1. 容器包装詰低酸性食品のボツリヌス食中毒に対するリスク評価

  2. 耐熱性好酸性菌の耐熱性測定

  3. 食品の回転殺菌における熱伝達

  4. オンライン情報検索

  5. インターネットによる情報管理

  6. データベースの実用化

依頼試験

 新規受付39件、前月より繰り越し36件、合計75件。うち完了43件、来月へ繰り越し32件。

主要項目:貯蔵試験、栄養成分分析、異物検定、異臭・異物発生原因推定、穿孔・腐食・膨張・変色原因究明、チアミン・水分定量、酸価測定、有機酸組成分析、微生物接種試験、菌株同定、変敗原因究明、細菌検査、菌数測定、容器性能・密封性状試験、殺菌条件申告、英文証明書作成、堅さ測定、通関統計データ処理、ホームページ作成および管理

その他

  1. 缶・びん詰、レトルト食品フェア事務局業務

  2. 主任技術者講習会業務(殺菌:査定)

  3. (財)東洋食品研究所顧問会出席

  4. 長野県産業大学校講座講師担当

  5. 日本清涼飲料研究会聴講

  6. FDA管理サービス関連業務

  7. 研究会業務(会議開催および準備、情報誌作成)

  8. 会員サービス他(文献調査、技術指導、工場調査、見学、電話、電子メール回答)
     


登録:2005/12/14
Copyright (c) 2005, (社)日本缶詰びん詰レトルト食品協会 Japan Canners Association