(缶詰時報 2007年9月号掲載)

品化学研究室では今年度の研究調査として、熱帯果実の品質に関する調査を行っており、主に有機酸組成や陰イオン組成の分析を実施しております。熱帯果実の種類は数多くありますが、市販されている種類は多くなく、果実の購入に頭を悩ませております。

れまで、分析した熱帯果実の一つに、ドラゴンフルーツというものがありますが、皆さんご存知でしょうか。私は十数年前にシンガポールで初めてドラゴンフルーツを食べたことがあり、その印象があまりにも強烈でよく覚えています。というのは果実の外皮には角のような葉がついており、鮮やかなピンク(赤紫色)であったことと、内側の果肉は白色で黒いゴマのような種が全体に散らばっており、初めて見た驚きの果実だったからです。ちなみに味のほうは酸味が弱く甘さは程好い感じの印象でした。

ラゴンフルーツは三角サボテンの果実の一種ですが、三角サボテンの果実の総称はピタヤと呼ばれており、ドラゴンフルーツは商品名だそうです。果皮果肉とも赤紫色のレッドドラゴンと呼ばれるものや、果皮黄色果肉白色のゴールデンドラゴン、イエローピタヤと呼ばれるものもあります。レッドドラゴンの果肉の色素は文献等によるとベタレインに分類されるベタシアニンと呼ばれる色素であることが判りました。ベタレインはベタシアニン(赤紫色)とベタキサンチン(黄色)に分けられ、配糖体の形で存在し、色素の構造中に窒素原子を含む特徴があります。なお、ベタレインを含む植物はビートやツルムラサキ等があります。

て、ドラゴンフルーツにいろんな種類があるとは知らなかった私は、シンガポールで食べたあのドラゴンフルーツだと思い、分析用の試料(レッドドラゴン)に包丁を入れたわけですが、驚いたのは言うまでもありません。

  

(食品化学研究室 田口真寿美)


<2007年7月の主な業務>

試験・研究・調査

  1. 熱帯果実の有機酸組成および陰イオン組成の分析

  2. 有芽胞乳酸菌の芽胞形成用培地の検討

  3. 食品の回転殺菌における温度シミュレーション

  4. インターネットによる情報管理

  5. データベースの実用化

依頼試験

 新規受付47件、前月より繰り越し25件、合計72件。うち完了43件、来月へ繰り越し29件。

主要項目:貯蔵試験、分析(ヘッドスペースガス、栄養成分等、揮発性成分)、異物検定、付着物同定、測定(pH、滴定酸度、油脂特数等)、水分定量、官能評価、原因究明(白濁、変色、変敗、果肉崩壊)、品質評価、写真撮影、微生物接種試験、菌株同定、耐熱性試験、細菌試験、毒性試験、容器性能試験、容器破裂強度試験、缶密封性状、FDA殺菌条件申告、FDA施設登録管理、英文証明書作成、ホームページ管理、通関統計データ処理

その他

  1. 省エネルギー展調査

  2. 研究会(情報誌作成)

  3. 食品工業展調査

  4. FDA管理サービス関連業務

  5. 会員サービス他(技術指導、文献調査、見学応対、電話、電子メール回答)


Update 2007/ 9/ 7

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