(缶詰時報 2010年11月号掲載)


さんは缶詰食品を食べるとき、どのように開缶していますか?最近では缶切りを使う機会はだいぶ減りましたね。当研究室では、試験を行うときに無菌的に開けるのですが、巻締め部分に傷をつけないように開缶するため、特殊な形の缶切りを使用して開けています。“バクトディスクカッター”という名前の缶切りです。どんなサイズの缶詰にも対応でき、コンパスで円を描くようにして缶蓋の中心を切り抜くことができます。長さは30cm近くあり、力も必要ですし、コンパクト性にも欠けるため、さすがにこれは一般家庭向けではないと思われます。そもそも、一般家庭向けの缶詰では、そのほとんどが缶切り不要のイージーオープン缶になっています。考えてみると、私が幼いころは今よりも缶切りの出番は多く、非常袋にも缶詰食品と合わせて缶切りが入れてあったように記憶しています。このイージーオープン缶が開発されたのはいつ頃なのでしょうか?

調べてみると、1963年(昭和38年)にアメリカでイージーオープン缶の缶蓋が開発された、とありました。日本で普及したのは昭和40年代だそうです。

 

それまでは飲料缶も缶切りを使用していたということです。現在の飲料缶で採用されている、プルトップが本体から分離しないステイオンタブが普及したのは1990年だそうです。

ージー(easy)といっても、子供の頃の私にとっては全然イージーではありませんでした。缶詰を開けたくても、指の力が弱いのと、リングを持ち上げた時に鳴る音が怖いのとで、リングを持ち上げることができなかったのです。結局、スプーンの柄を使って、てこの原理にようにして恐る恐る開缶していました。勿論、今ではしっかりと指で持ち上げることができますが、ひじきや大豆など缶内が高真空になっているものはスプーンに頼ってしまいます。

期保存がきく便利食材として、缶・びん詰・レトルト食品は研究者たちの技術がぎっしり詰まった素晴らしい食品だと思います。これからも様々な技術が開発され、おおいに普及してほしいと思います。  

(食品微生物学研究室 P靖子)


<2010年9月の主な業務>

試験・研究・調査

  1. 果実・野菜類の品質成分に関する調査

  2. Clostridium 属細菌の遺伝子調査

  3. 缶詰食品の熱伝達シミュレーション

依頼試験

 新規受付37件、前月より繰り越し23件、合計60件。うち完了34件、来月へ繰り越し26件

主要項目:試験(貯蔵、微生物接種、細菌、容器性能、密封評価、容器性状)、鉄定量、油脂特数測定等、容器性状観察、異物検定、原因究明(濁り、異臭、変色、漏洩、膨脹、変敗)、同定(白色物、菌株)、生菌数測定、研修、殺菌、英文証明書作成、殺菌条件申告、ホームページ管理、通関統計データ処理

その他

  1. 会員工場へのFDA工場査察立会いおよび事後処理

  2. 第85回殺菌講習会査定

  3. 技術賞選考委員会対応

  4. ベビーフード協議会見学会対応

  5. 第162回巻締講習会査定

  6. HACCP講習会開催講師および事務局

  7. 外部講演会講師担当

  8. 研究会(食品包装プロセス、チルド食品)関連業務

  9. FDA管理サービス関連業務

  10. 会員サービス他(技術相談、文献調査、見学応対、電話、電子メール回答)


Update 2010/11/5

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