このシーサイドラインは、平成元年に完成した高架式新交通システムである。3年ほど前に開通した東京の「ゆりかもめ」と同じようなシステムである。新杉田から金沢八景までわずか10.6kmの区間を走る。駅は両端を含め14カ所もあり、バス路線と同じような駅間隔である。車輌はゴムタイヤだ。この電車には運転手も車掌もいない。まるで玩具の電車だ。
時間がくると、自動的にホームと電車のドアが閉まり、走り出し、やがて車内アナウンスが次の駅名を知らせ、下車をうながす。停車、ドア開閉、発車が混乱なく、スムースに行われる。両端の駅には駅員がいるが、他の駅には駅員がいない。自動改札と自動券売機で用が足りるからだ。駅には必ずエスカレータがあるが、客がいないときは停止している。ヤレヤレ徒歩で昇らなければならないのかとがっかりしながら近づくと、気配を感じてエスカレータが動き出したときはうれしかった。
また、安全確認のため、駅のあちこちに監視カメラが設置されている。これでは悪戯はもちろん、不格好な姿を見せることもできまい。先日、カメラに向かって手を振ってみたが何も反応がなかった。危害がなければ見過ごす、新交通システムのHACCPだ。
電車は工業団地の中を走るので、景色がよいとはいえない。しかし近くに海や船が見え、よく晴れた日には遠くに富士山が見える。ここは横浜市が誇るハイテク工業団地。その一角を占めたわが研究所も、新しいハイテクを生み出していかなければならない。
(第三研究室長 藤原 忠)
試験・研究・調査
その他