缶詰、びん詰、レトルト食品Q&A (品質)

2014年4月1日 改訂版

Q16. 缶のにおいが気になるが除くことはできますか?

缶臭とは容器に由来する特徴的な金属臭のことをいいます。果実や野菜缶詰など缶内面無塗装缶で製造後長期になると強く感じられることから、缶の素材、特に鉄に含まれる微量成分が関与しているとされます。現在、多くの製品には缶内面を塗装した缶を使っていますので缶臭も少なくなっています。また、においに関与する成分は揮発しやすい性質を持っていますので、中身を他の容器に移して軽く熱をかければ感じなくなってしまいます。

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Q17. 原料はいつも生鮮のものが使われているのですか?

缶詰の原料は、出回りの最も多い、すなわち旬に当る時期の味のよいものが使われるのが一般的です。しかし、近年は冷凍技術が進歩したので、魚や肉はいうまでもなく、ジャム原料のいちごなども冷凍原料が多く使われるようになりました。これらの冷凍原料は原料産地において生鮮原料の出回り時期(旬)に製造されるので、冷凍後の保管条件や解凍方法が適正であれば、生鮮原料とほとんど同じ条件とみてよいでしょう。

なお、果汁原料についても、搾汁した原果汁をそのまま、あるいは濃縮果汁として冷蔵し、年間を通じて、ジュースやネクターの製品が作られています。

Q18. 果物の缶詰の甘味度について教えてください

果実缶詰の甘味度は、果実本来の糖度9~11%に比べればいくらか甘く感じます。これらの果実缶詰の糖度は、JASにきめられていますが、果実に含まれる酸の多少により、甘味も違ってきますので、缶詰の甘味度は、糖度だけで一概にきめることはできません。農産物缶詰・びん詰の品質表示基準で、製品の糖度は、10%以上14%未満のものを、エキストラライト・シラップ、14%以上18%未満のものをライト・シラップ、18%以上22%未満のものをヘビー・シラップ、22%以上のものをエキストラヘビー・シラップといい、一般にみかん缶詰は14%(ライト・シラップ)、もも及びパインアップルの缶詰はそれぞれ18%(ヘビー・シラップ)を基準として作られています。

Q19. 魚貝類の水煮や油漬の塩分濃度はどのくらいですか?

魚貝類の水煮や油漬には、味を良くする目的で製造の際おおむね0.2~0.7%程度の精製塩を添加しています。食塩のとりすぎ等の要望に応じ、必要最少限度にとどめています。

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Q20. 加熱殺菌により、栄養素は失われますか?

缶詰、びん詰やレトルト食品は、果実などの酸性食品を除いて、ふつう110~120℃の高温で加熱殺菌されるので、生鮮食品や家庭で調理した食品に比べて、栄養価が劣ると考えられがちです。

しかし、缶詰は、大量に出回る時期(旬)の新鮮な原料を使って、高い真空下で空気をしゃ断した状態で加熱殺菌が行われるので、家庭で調理されたものより、むしろ栄養価が高いといえます。

まず、ビタミン類についてみると、一般的にA、D、Eは水に溶けないので、原料の調理(剥皮、切断、湯煮など)により、ほとんど損失することはなく、加熱殺菌に対して安定でこわれません。ビタミンB1、B2、Cは水にも溶けやすく、B1とCは比較的酸化されやすく、調理によってある程度減ったり、こわれたりします。加熱殺菌に対しては、B1はpHの高い魚、食肉、野菜などの場合、不安定でこわれやすく、B2は比較的安定しています。Cは缶詰のように空気に触れない状態で加熱された場合はかなり安定です。

なお、調理の工程で、湯煮はできるだけ短時間に行ったり、蒸気で蒸す方法に変えることによって、ビタミン類の減少を少なくする方法がとられています。

いま、野菜缶詰に例をとって、ビタミン類の残存量 注)についてみると、原料の種類、調理の方法、加熱殺菌の条件によって一概にはいえませんが、Aは80~100%、B1は20~50%、B2は60~90%、Cは50~80%とみてさしつかえありません。また、加熱殺菌により、たん白質、脂肪、糖質などの栄養素は、減少することはありません。

注) 缶詰はふつう液汁が加えられているので、液の中に含まれる水溶性のビタミン(B1、B2、C)を計算に入れた場合の残存率を示しました。

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Q21. なぜ魚類缶詰にはカルシウムが豊富なのですか?

日本人の栄養摂取量についてみますと、カルシウムが不足しているといわれています。また、食品中に含まれるカルシウムとリンの比率は、1:0.5~2が良いとされています。さけ、いわし、さばなどの缶詰は、加圧加熱殺菌により、骨まで軟らかくなっていて、カルシウム分は吸収されやすい形で含まれています。そして製品の分析結果からみても、カルシウムとリンの比率は1:1~1.8を示しているので、魚類缶詰は、貴重なたん白質を含んでいるばかりでなく、カルシウムの補給の点からも、優れた栄養価をもつものといえるでしょう。

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Q22. 魚類缶詰に豊富なEPAとDHAとは何ですか?

いわし、さば、さんま、まぐろなど青魚に多く含まれる脂肪酸、EPAとDHAが、近年、脚光をあびています。

EPAは、エイコサペンタエン酸の略で、n-3系多価不飽和脂肪酸の一種です。血小板の凝集を抑え、血液をサラサラにして血栓による病気を予防するほか、血中の脂肪、コレステロール濃度を下げることで健康に良いとされています。

DHAは、ドコサヘキサエン酸の略で、EPAと同じn-3系多価不飽和脂肪酸の一種です。脳の働きを良くし、頭に良い成分として注目されましたが、脳・神経の発達にとって必須成分と考えられています。そのほか、網膜反射機能の向上、制ガン作用、抗アレルギー作用などいろいろな生理作用が注目されています。

EPAとDHAは、生鮮品と同様に、いわし、さば、さんま、まぐろといった青魚などの缶詰にも多く含まれており、良い供給源であるといえます。

Q23. かに缶やさけ缶にガラス状の結晶を見つけましたがこれは何ですか?

かにやさけの原料肉の中に自然に含まれている、微量のマグネシウム、アンモニウム及びリン酸が結合して、リン酸アンモニウムマグネシウムという、ガラス状の結晶が生成する場合があります。

この結晶は無味・無臭の結晶で、ストラバイト又はクリスタルともいわれています。この結晶は、胃の中で容易に溶けるので、食品衛生法上の問題はありませんが、大きいものは、口腔を怪我させる可能性もあるので、製造方法の改良により、結晶の生成を防いだり、結晶を出来るだけ小さくするよう努めています。

ストラバイトの生成を防ぐため、かに缶詰では少量のクエン酸を加えたり、さけ缶詰では結晶が大きくなる温度帯である30~50℃を早く通過させる急速冷却を行ったりしています。

Q24. かに缶の中に入っている紙は何のためですか?

かに缶詰は、中身を硫酸紙で包んであります。この紙は硫酸紙またはパーチメント紙といいます。硫酸紙といっても製紙工程で硫酸を使うという意味で、実際に硫酸を含むわけではありません。

かにの肉は、たん白質の中に硫黄分を含んだ成分が比較的多く含まれているので、容器の鉄分と結合して硫化鉄が生成し、部分的に黒い斑点ができることがあります。これを防ぐため缶の内面を塗装し、さらに硫酸紙で包んであるのです。

このような黒変は、かに以外のえび、ほたてなど魚貝類缶詰でもみられることがありますが、衛生上全く問題はありません。

このほか、かに缶詰の中に、肉が部分的に青く変色したものが時にみられます。これはかに肉の血液中に含まれるヘモシアニンという色素がその要因の一つとされており、原料肉の洗じょうによる血液の除去が不十分な場合に起こりやすいとされていますが、これも衛生上問題はありません。

Q25. みかん缶やたけのこ缶の汁が白く濁っているが大丈夫ですか?

みかんにはヘスペリジンという物質が含まれており、これが果肉からシラップへ移って微細な結晶となり、白く濁ってきます。ヘスペリジン(配糖体)はビタミンPの母体であり、衛生上は全く問題はありません。しかし、白濁の程度が強いと見た感じがよくないので、ヘスペリジナーゼという酵素で処理することによって、白濁を防ぐことができます。

たけのこ缶詰には、チロシン(アミノ酸の一種)を主成分とする白濁が見られます。

これらは天然成分ですから、食用として一向にさしつかえありません。

Q26. みかん缶は皮をどうやってむいているのですか?

缶詰のみかんの皮は、剥皮(はくひ)装置により自動的に、むいています。みかんの外果皮の剥皮は、皮がむけやすいようにスコルダー(湯煮機)を通し、そのあと、外果皮に切り口を付け、ローラー巻き込みにより剥皮します。

みかんの身割りは、水中でゴム製など弾性材のさくの間を通して、ばらばらに分割します。

みかんの内果皮は、酸・アルカリ処理によってむきます。すなわち希塩酸溶液(約0.5%)と希水酸化ナトリウム溶液(約0.3%)の微温液で、それぞれ20~40分程度処理したあと、水洗水さらしを50~60分行うことによって、内果皮がむけます。なお、処理に用いる酸・アルカリは食品衛生法において、食品添加物に指定されている純度の高いものであり、水洗により製品には全く移行、残存しないことも条件とされています。

Q27. もも缶で果肉が部分的に紫色になっているが大丈夫ですか?

ももには、種子の周囲や果実の表面が部分的に赤色を帯びたものがありますが、これはももに含まれるアントシアンという色素によるものです。この色素は、缶容器のスズと結合して紫色に変化します。原料の着色程度の軽いものを使えば、缶詰に製造してから1、2ヶ月の間に消えてしまいますが、着色の強いものを使うと、紫色に変化して商品価値が著しく落ちます。しかし、このように変色したものでも、衛生上はなんら問題はありません。

最近、栽培農家の人手不足から無袋栽培が増えており、着色果が多くなっていますが、加工用には着色の程度の少ないものを特に選ぶようにしています。なお、変色を防止する目的でビタミンCを添加することもあります。

Q28. 開けると表面がゼリー状になっていたり、白い斑点状のものが見られるが大丈夫ですか?

魚類や肉類の缶詰で冬場や低温に置いておくと見られる現象です。ゼリー状になるのは原料に含まれるタンパク質の一種であるコラーゲンが加熱によって溶け出し、ゼラチンになって低温で固まったもので、いわゆる「にこごり」と同じものです。白い斑点状の成分は原料に含まれる脂肪で、これも低温によって結晶化したものです。いずれも原料に由来する天然成分で衛生上の問題はまったくありません。

適度に加温すればどちらも溶解して普通に召し上がることができます。

また、サケやサバなどの水産缶詰で豆腐のような柔らかい白いものが表面についていたり浮遊していることがあります。これはカードと呼ばれるもので、魚肉に含まれる水溶性のタンパク質が加熱によって凝固したものです。見た目は悪いですが、衛生的にはなんら問題はありません。

Q29. あさり水煮缶で身と液汁が緑っぽいが大丈夫ですか?

あさりは3~6月にかけて漁獲されたものが最も肉質や香味がよいとされています。ただ、初期の3~4月には餌となるプランクトン(藻類)に由来する緑色が強くなる時期でもあり、このプランクトンを食べたあさりの内臓部に緑変がみられるようになります。このあさりを原料として缶詰にした場合、あさりの身のほか、液汁まで緑がかることがあります(この現象はグリーンフィードと呼ばれています)。このように、グリーンフィードは季節による自然な現象であり、食品の安全上の問題はありません。しかし、これは製品としては見た目がよくないため、漁獲時期をずらしたり、産地を変更するなどの対応を行っています。

Q30. うずら卵水煮缶で液面に油が浮いているが大丈夫ですか?

原料となるうずら卵の卵黄には脂肪分が多く含まれていますが、卵表面についた小さな傷からその卵黄の脂肪分が溶け出し液汁表面に浮く場合があります。製造から年月が経過するほど油成分が出やすくなる傾向がありますが、品質上の問題はありません。

Q31. パイン缶で果肉が褐変しているが食べても大丈夫ですか?

パインアップル缶詰でまれに見られる「ピンク病」という現象です。これは原料のパインアップルに、ある種の微生物が付着し、原料に含まれる糖が分解されて「αケト酸」という生成物が蓄積され、アミノ酸やタンパク質と一緒に加熱すると褐色の色素が生成されるためであるとされています。生の果実の状態ではわからず、加熱殺菌して初めて変色が明らかになります。これに関与する微生物、化合物、色素などどれも衛生的に問題はなく、パインアップルは食べても大丈夫ですが、色が変化するため商品価値は著しく損なわれることになります。

Q32. 食肉の缶詰で肉の中が赤いことがあるが火が十分に通っていないのでしょうか?

食肉の赤色はミオグロビンという色素によるものですが、この色素は加熱すると褐色に変化します。
家庭での調理とは異なり、食肉加工製品ではその製造工程中に熟成と味付けを目的とした塩漬という工程があります。この工程でミオグロビンは酸化窒素と結びついて熱に対して安定な赤色色素になり、十分な加熱殺菌を行ったとしても赤色が保たれます。
これは、ハムやソーセージにおける赤色の色調と同様のもので安全性や衛生上の問題は全くありません。

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