(缶詰時報 2001年 6月号掲載) |
4月17日の朝、NHKの「生活ほっとモーニング」という番組で缶詰が取り上げられました。「手軽で栄養満点!かんづめ徹底活用術」と題して、小林カツ代さんやカーリー西條さんご自慢の缶詰を使った料理が紹介されたほか、缶詰の賞味期間について質問に答えるということで、当研究所が制作に協力いたしました。その舞台裏について少し紹介しましょう。 「缶詰はいつまで食べることができるのでしょう」「品質変化はどのように起きますか」など担当ディレクターと打ち合わせを重ねた結果、研究所に保管してあった30年前の鮭水煮缶詰を開けて食べようということになりました。
放送をご覧になった方はおわかりですが、「賞味期間はとうに過ぎていますが、衛生的に問題がない」ということを細菌試験の結果も交えて示しました。これはなかなか説得力があったと思います。
実はこのほかにも鮭缶詰が登場する予定でした。それは製造後5年までの製品の真空度を測って品質変化を説明するものでした。これは製品個々のバラツキもあって苦心しましたが、なんとかうまく収録できました。次にその説明です。化学変化によってガスが発生する過程は難しいのでCG(コンピュータグラフィックス)によるアニメーションで説明することになりました。アミノ・カルボニル反応による二酸化炭素ガス、鉄の腐食による水素ガス、この発生機構を何回も何回も説明してやっと原稿ができあがりました。
さて放送当日、もっとも苦心した真空度とガス発生についてはカットとなりました。視聴者に理解していただくのは難しいということで結局、色や味の変化を中心に品質変化を説明することになった訳です。しかし、これだけでもかなり専門的なことを紹介できたのですから吉としましょう。研究所ではこれまでも何回かテレビ番組制作に協力してきましたが、1日がかりで撮影しても放送されなかったことも度々あります。
そんな訳で皆様には予め放送内容についてお知らせできなかったことを残念に思っています。当日の放送内容の一部については下記のNHKホームページから知ることができます(4月17日放送分、あるいはキーワード"缶詰"で検索してみてください)。http://www.nhk.or.jp/hot/onair_old/index.html
(研究所長 増田寛行)
<2001年4月の主な業務>試験・研究・調査
- 密封容器詰食品の誘導電流等による加熱殺菌技術の開発
- みかん缶詰の恒温放置中における菌数変化
- 高度精白米におけるボツリヌス菌の発育挙動に関する研究
- インターネットによる情報管理
依頼試験
新規受付16件、前月より繰り越し10件、合計26件、うち完了13件、来月へ繰り越し13件。
主要項目;缶詰食品の貯蔵試験、原因究明(変色、白濁、容器穿孔)、成分分析(揮発性成分、品質関連成分)、異物同定、水分活性、細菌接種試験、菌株同定、カビ同定、菌株分与、証明書作成、容器性状試験、研修、FDA登録関連業務、通関統計データ処理
その他
- チルド食品・食品包装プロセス研究会業務(情報誌作成、事務処理)
- 主任技術者講習会(HACCP:講師担当)
- 講演会聴講(JARO広告研究講座)
- 補助事業計画申請
- 依頼試験料金改定
- 研究報告書作成
- 会員サービス(来訪対応、電話、電子メール回答など)
- TV番組制作協力