(缶詰時報 2001年 11月号掲載)


 緑茶飲料の大ブームは、"茶"をこよなく愛する私にとっても、とてもうれしいニュースです。
 お茶の潤いは、何ものにもかえることのできない至福の時をもたらしてくれますが、近年、このお茶が私達の心と体にもたらす、すばらしい効能について多数報告されています。
 例えば、緑茶に含まれる抗酸化性のカテキン類は、がんなどの生活習慣病の予防、コレステロール上昇抑制、血圧上昇抑制、抗アレルギー、虫歯予防等様々な作用を示すことが報告されています。さらに緑茶のカテキン類は、善玉(腸内)菌に影響を与えることなく、悪玉菌にだけ抗菌作用を示すことも明らかになっています。また緑茶は、アルツハイマー病予防や自己免疫病という、治療が非常に難しい病気の発病を抑えることにも効果があるということが、最近の研究で確認されています。
 緑茶の効能で、特に私が注目したのは、緑茶を食べることによって、肥満が予防されるというものです。ある実験によると、4か月間、緑茶の粉末を4%餌に加えて食べさせたマウスは、緑茶粉末を加えていない餌を食べさせたマウスに比べ、約45%も体重の増加が抑制され、腹腔内の脂肪蓄積も約7分の1に抑制されていたことが分かりました。これからは、飲むことに加え、食べる"茶食"も大ブームを巻き起こすかもしれません。

 

 新茶の香りには、「春の精が宿る」と言われますが、そのアロマテラピー効果も見逃すことはできません。緑茶には、確認されているだけでも600種類以上の香気性成分が含まれ、その成分には神経を鎮める効果があるそうです。また、お茶のうま味成分であるテアニンを摂取すると、ゆったりとリラックスした時に出るα波(脳波)の出る回数や時間が増加することも確認されています。

まさにその昔、「養生の仙薬」として珍重されていた緑茶のすばらしい力は計り知れません。最近、胸が裂けるような悪いニュースが絶え間なく続きますが、いつの日かこれらすべてが消え去り、良いニュースで満ち溢れる日々が来ることを願うばかりです。ひょっとすると、無限に広がる茶の力によって、「茶は地球を救う!」なんていう奇跡が起こるのではないかと期待しています。

 (第4研究室研究員 加藤睦美)

<2001年9月の主な業務>

試験・研究・調査

  1. 密封容器詰食品の誘導電流および通電加熱による加熱殺菌技術の開発 
  2. みかん缶詰の恒温放置中における菌数変化 
  3. 高度精白米におけるボツリヌス菌の発育挙動に関する研究 
  4. 果実缶詰の品質に及ぼす糖類などの影響について 
  5. インターネットによる情報管理

依頼試験

新規受付21件、前月より繰り越し18件、合計39件、うち完了25件、来月へ繰り越し14件。
主要項目;缶詰食品の貯蔵試験、原因究明(変色、容器腐食)、異物検定、栄養成分分析、変敗原因究明、細菌接種試験、細菌耐熱性試験、カビ同定、菌株分与、菌数測定、証明書作成、容器性状試験、缶密封試験、FDA登録関連業務、通関統計データ処理

その他

  1. チルド食品・食品包装プロセス研究会業務(情報誌作成、事務業務)
  2. 主任技術者講習会(巻締:資格査定、事務局業務、品質管理:試験採点) 
  3. 講演会聴講および講演準備 
  4. TV番組制作協力 
  5. 展示会調査 
  6. レトルト食品品評会準備作業 
  7. 会員サービス(電話、電子メール回答など)

登録:2001/11/16
Copyright (c) 2001, (社)日本缶詰びん詰レトルト食品協会 Japan Canners Association