(缶詰時報 2002年 6月号掲載)
6月は、ワールドカップサッカーが開催中で、日本代表の大活躍に、にわかサポーターとして応援しています。ところで新聞の大きなサッカー記事の下には、「お詫びとお知らせ」と書かれた広告がたくさん並んでいます。食品衛生法で認められていない物質を含む香料を使用していることによる大量回収に始まって、残留農薬や機械油混入など回収理由は様々です。

しかし、このような回収広告ですが、会社と製品名以外の、回収理由や人体への影響などは、細かい文字をよく読まないと分かりにくいですね。全体的な情報を知ろうと、国民生活センターのホームページを見たところ、同じ回収広告が並んでいるだけでした。消費者を保護する製品回収であるなら、消費者に不要な心配をさせないためにも、分かりやすい情報公開の方法を検討してもらいたいものです。

国FDAの場合は、ホームページ(http://www.fda.gov/ opacom/ Enforce.html)で製品回収の重要度別に分類して発表されています。この内容は、「FDA情報」として毎回掲載しているので、FDA管理サービスに加入されている方はご存知かと思います。 

  クラスIとして、重大な健康被害を及ぼし死亡の可能性があるもので、例えばリステリア菌やボツリヌス菌汚染の可能性のある製品や玉子やピーナッツなどの使用表示がないなどです。クラスIIは、一時的で治療可能な健康危害や、危害の恐れが低いもので、サルモネラ汚染やガラス片などの異物混入、黄色4号などの使用表示不備などがあります。今回日本で起きた様な、不許可の添加物使用はこのクラスIIに入っていました。クラスIIIは、健康被害のおそれがないもので、異味異臭、膨張変敗や栄養表示が製品と違うなどがあります。またこの発表ではクラス別に、製品、対象コード、製造者、回収理由、数量、販売地域とタイトルが打たれ簡潔に記載されているので、一目で内容を把握することができます。

ところで米国FDAの回収理由には、アレルギー物質の表示不備が非常に多くなっています。日本でもアレルギー物質を含む食品等に係る表示が義務づけられました。今後は、米国のようにアレルギー物質表示関連の回収が増える可能性もあります。ご注意ください。

(第3研究室研究員 細井順子)


<2002年4月の主な業務>

試験・研究・調査

  1. 小型熱交換器による飲料の超高温殺菌に関する研究
  2. 並列コンピュータによる熱伝達シミュレーション
  3. みかん缶詰の恒温放置中における菌数変化
  4. 果実缶詰の品質に及ぼす糖類などの影響について
  5. インターネットによる情報管理

依頼試験

新規受付23件、前月より繰り越し19件、合計42件、うち完了28件、来月へ繰り越し14件。

主要項目;缶詰、レトルト食品の貯蔵試験、原因究明(容器腐食、変色、異臭、結晶物)、異物検定、成分分析(栄養、重金属、品質関連成分)、官能評価、細菌接種試験、菌数・芽胞数測定、抗菌性試験、菌株分与、細菌耐熱性試験、証明書作成、容器性能試験、殺菌、FDA登録関連業務、通関統計データ処理、研修指導

その他

  1. チルド食品・食品包装プロセス研究会業務(情報誌作成、事務業務)
  2. 主任技術者資格認定講習会(殺菌:試験問題作成)
  3. 講演会聴講(防菌防黴学会、アレルギー物質関係セミナー) 
  4. 会議出席(水産利用懇話会、青森県缶詰協会総会、長野県缶詰協会総会)
  5. 会員サービス(電話、電子メール回答など)

登録:2002/7/17
Copyright (c) 2002, (社)日本缶詰びん詰レトルト食品協会 Japan Canners Association