(缶詰時報
2003年2月号掲載) |
当研究室では細菌の培養に必要な種々の培地を調製しています。そんな中で牛や豚の肝臓を使う肝々ブイヨンや牛の心臓肉ハツからのビーフハート・インフュージョン・ブロスなどは独特の培地といえるかもしれません。大げさかもしれませんが,研究所が移転した際の最重要課題の一つが肉屋の確保でした。以前は住居地域でしたから散歩がてら坂上の肉屋からの購入でとくに支障をきたすことはありませんでした。ここ福浦では駅ビルや量販店に出店しているミートショップから調達しています。もっとも散歩がてらというわけにはいきません。量的には一回にせいぜい1キロから2キロ程度なのですが,やはり不可欠の材料となっています。ところがいわゆるBSE狂牛病の汚染が公表されるやこれら臓物の入手が一時期困難になってしまい,ハタと困ってしまいました。売れるはずのない品物は店頭から撤去されてしまいます。まるで一瞬の出来事のように。当然といえば当然なのですがそこまで徹底した状況とは,現状を再認識した次第です。また,たまたま20年ぶりに豚のモモ肉から調製するポーク・ピー・インフュージョンの必要に迫られたため,チェーン店のミートショップで意外な経験をしてしまいました。 それは単にいつものいや20年前の肉屋での買物という意識から脱却していない意思と現状とのギャップなのですが。豚モモ肉の二度挽きに必要な肉の選定を窓越しにして「これを二度挽きして欲しい」と問えば,バイトらしき(ルーズソックスは未確認)女性店員は「はあっ」と。どうも"挽く"という意味が不明だったようで,すかさず店長らしき若い兄さんが「お客さん,二度挽きはできない,うちの機械は目詰まりするから」との返答でした。挽けない肉屋が存在していることにショックを覚えました。確かにチェーン店のミートショップの品物は価格が安く,品質も良く,必要のない筋や脂肪は除かれており,ほとんど手間のかからないことは証明済みです。がしかし,客からの注文が重量だけの世界となっていることは少なからず驚きでした。これなら店員はバイトで十分,肉は勿論,鮮魚や野菜(大根や白菜の半分や1/4がないのなら)といわず,どんな食品でも扱えるはずと妙に納得してしまいました。大量仕入れで大量販売,人件費の削減となれば,とても個人経営の店舗は太刀打ちできないと痛感した次第です。 (研究所次長・第2研究室長 駒木 勝)
<2002年12月の主な業務>試験・研究・調査
- 小型熱交換器による飲料の超高温殺菌に関する研究
- 並列コンピュータ構築に関する研究
- ボツリヌス菌接種試験(厚生労働省補助研究)
- アルミレスパウチの性能評価試験
- インターネットによる情報管理
依頼試験
新規受付17件、前月より繰り越し16件、合計33件、うち完了24件、来月へ繰り越し9件
主要項目;レトルト食品の貯蔵試験、異物検定、成分分析(有機酸、)、粘度測定、容器腐食原因究明、細菌、酵母接種試験、変敗原因究明、菌数、芽胞数測定、無菌試験、証明書作成、容器性能試験、FDA登録関連業務、通関統計データ処理、文献コピーその他
- チルド食品・食品包装プロセス研究会業務(情報誌作成、会議開催、事務業務)
- 無菌充填技術ワークショップ開催
- 主任技術者講習会(殺菌:試験採点、HACCP:講師担当、試験採点)
- 講演会(ミールソルーション研究会)
- 新版製造講義正誤表作成
- 会員サービス(見学対応、研修、電話、電子メール回答など)