(缶詰時報
2003年12月号掲載) |
10月9日・10日に「安心&おいしいフードショー」―缶・びん詰・レトルト食品フェア―が開催され、筆者も2日間スタッフとして参加しました。昨年に引き続き抽選会の担当をしましたが、昨年以上の大好評に非常に驚きました。抽選は1日3回行われ、その度に某有名テーマパークのアトラクションを思い起こさせるような長蛇の列となりました。最高で40〜50分待ちくらいあったのではないでしょうか。年々来場者数も増えていますので来年もより多くの会員企業の方々にご参加していただけることを願っております。 話は変わりますが現在、会員企業の方と合同で取り組んでいる研究に「レトルト調理食品の粘度低下に関する研究」があります。レトルト食品のコーンスープやカレー、シチューなど粘性のある製品で喫食中に粘度が低下することがあるため、このような現象の原因究明と防止法について調査、研究を行っています。原因としては唾液中に含まれる酵素であるα−アミラーゼが原料の小麦粉に含まれるデンプンを分解するために粘度低下を引き起こすと考えられます。
しかも製品100gに対し10mgという極少量の唾液で顕著な粘度低下を起こす結果が示されています。この現象はレトルト食品だけでなく、例えばご家庭で調理中に味見をしたスプーンをそのまま戻したりしても起きることがあります。もし興味をもたれた方はコーンスープやカレーを召し上がる時に口に含んだスプーンを10分程度漬けてみてください。ものによっては数分で明らかな粘度低下がわかると思います。
今回の研究では原因究明と防止法を調査、研究することが目的ですが、さらには口の中で唾液と反応し粘度低下を起こすことにより、口の中でとろけるといった新しい食感をもつ食品の開発につながるヒントも得られれば非常に面白いと考えています。
(食品化学研究室研究員 山崎良行)
<2003年9月の主な業務>試験・研究・調査
- アルミレスパウチの性能評価試験
- 揮発性成分分析による水産缶詰食品の品質評価
- レトルト調理食品の粘度低下に関する研究
- 高温性嫌気性細菌芽胞の調製と耐熱性測定
- 熱伝達シミュレーションへの並列分散処理の応用
- UHT処理による耐熱性有芽胞細菌の死滅速度
- インターネットによる情報管理
依頼試験
新規受付26件、前月より繰り越し22件、合計48件、うち完了28件、来月へ繰り越し20件
主要項目;異物検定、原因究明(変色・内面腐食)、成分分析(栄養成分)、細菌接種試験、菌株同定、カビ同定、添加物の抗菌効果評価、菌数測定、変敗原因究明、微生物耐熱性試験、無菌試験、容器性能試験、容器密封性試験、熱伝達試験、FDA登録関連業務、証明書作成、通関統計データ処理
その他
- チルド食品・食品包装プロセス研究会業務(情報誌作成、会議開催、その他事務業務)
- 主任技術者講習会(品質管理:資格査定)
- 学会、セミナー(日本食品微生物学会、長野産業大学講座、日本食品技術アカデミー講座、食品包装人材育成研修会、日本蜜柑缶詰工業組合研修会など講師担当)
- 展示会、会議(食品開発展、東洋食品研究所顧問会、業界自主GMP策定WG会議、米国バイオテロ法説明会、厚生労働省科学研究事業会議)
- 24回レトルト食品品評会事務局業務
- 安心&おいしいフードショー事務局業務
- 会員サービス(電話、電子メール回答、見学対応など)