(缶詰時報 2004年1月号掲載)

明けましておめでとうございます。今年も皆様と当業界にとって良い年になるよう祈念いたします。

2004年を迎えました。ここ数年このコーナーでは今年が缶詰誕生200年目にあたることを話題にしてまいりました。いざその時を迎えてみると果たして今年で良いのかと慎重な思いがよぎります。

その理由の一つは、ニコラ・アペールが最初に使った容器はガラスびんだったからです。金属缶の登場はその少し後(1810年)まで待たなくてはなりません。生誕の地フランスでは缶詰のことをConserve(コンセルブ)と呼びます。物を貯えることから生まれた言葉です。それに対して英米ではTinned, Canned foodと容器に着眼した言葉で呼ばれます。日本語の缶詰もこれに由来します。したがって缶に詰めた食品が1804年に最初にできたとは言えませんが、フランス式に「長期貯蔵できる食品を初めて作った」と言えば、全く問題はありません。

また1809年に仏政府から賞金が授与され、翌年に技術公開を行った時をもって始まりとする見方もあります。しかしその時は既に缶詰法としては確立していたのですから、本格的な製造を始めていたとする1804年がより相応しいとみるべきでしょう。歴史的事実には定説の他に多くの異論が伴うものです。

缶詰業界にある我々は、食物史上画期的な保存技術が生まれ、2世紀もの間、常に人類の食糧供給に貢献してきたことを素直に慶びたいものです。今、缶詰には長い歴史の中でもかつてなかったほどいろいろな競争相手が存在します。しかし安全性、実用性ということでは何者にもひけをとりません。2世紀の歴史がそれを証明しています。

当研究所もそのことを大きな誇りとし、さらなる発展を目指して研究開発にあたりたいと思います。今年もよろしくご支援ください。
             
       

 (研究所長 増田寛行)


<2003年11月の主な業務>

試験・研究・調査

  1. アルミレスパウチの性能評価試験

  2. 揮発性成分分析による水産缶詰食品の品質評価 

  3. レトルト調理食品の粘度低下に関する研究 

  4. 高温性嫌気性細菌芽胞の調製と耐熱性測定 

  5. 熱伝達シミュレーションへの並列分散処理の応用 

  6. UHT処理による耐熱性有芽胞細菌の死滅速度 

  7. インターネットによる情報管理

依頼試験

新規受付27件、前月より繰り越し20件、合計47件、うち完了41件、来月へ繰り越し6件

主要項目;異物検定、原因究明(変色・膨脹)、成分分析(栄養成分、油脂特数)、細菌接種試験、菌株同定、カビ同定、菌数測定、変敗原因究明、微生物耐熱性試験、無菌試験、菌株分与、容器性能試験、容器密封性試験、熱伝達試験、試製、FDA登録関連業務、証明書作成、通関統計データ処理

その他

  1. チルド食品・食品包装プロセス研究会業務(情報誌作成、その他事務業務)

  2. 主任技術者講習会(殺菌:準備)

  3. 第52回技術大会事務局業務 

  4. 米国バイオテロ対策規則説明会

  5. 会議(業界自主GMP策定WG会議、米大使館主催米国バイオテロ法説明会)

  6. 長野県園芸特産展品評会審査 

  7. 会員サービス(電話、電子メール回答、見学対応など)


登録:2004/1/19
Copyright (c) 2004, (社)日本缶詰びん詰レトルト食品協会 Japan Canners Association