(缶詰時報 2004年4月号掲載) |
年末年始で岩手県に帰郷したときに、面白い地元ニュースが目に入りました。盛岡タイムスによると岩手高校で電気磁気学の根本法則が覆る発見がなされたとのことです。プラスチックの箱にパチンコ玉を多数入れ、箱の外から永久磁石を近づけると、箱の壁面から2列目に並んだ球が中空に浮かぶらしく、その写真も掲載されていました。電気磁気学の門外漢には何がすごいのかわからないけれども、永久磁石だけを使って、鉄などの磁性体を浮上させるのは不可能だというのが1842年にイギリスのアーンショウが証明して以来の定説とのことです。この定説が覆ると電気磁気学に基づいて理論化された量子力学や相対性理論に影響を与え、20世紀最大の物理理論が高校生によって訂正されることになります。
また実用的にも、触らなくても鉄球を動かすことが可能になることから、クリーンルームなどでの非接触搬送装置への応用が検討されているとのことです。もしかしたら食品業界でも注目される新技術になるかもしれません。
この発見が本当にすごいことかまだわかりませんが、偶然や失敗を含め、たまたま目にした重要な現象に気づいたことがきっかけで、歴史的大発見がなされることはよくある話です。運もありますが、定説と異なる現象を見逃さなかった発見者の実力やその後の確証実験等の努力も讃えられます。このような現象に出会うことが科学者、研究者、技術者の醍醐味の一つです。
新技術が開発されると、新たな物造りが始まり、場合によっては日本中が活性化され、景気も良くなるでしょう。特に食品産業に依存している地方では、外国に追随できない技術開発が必要になっています。定説にこだわって眠っている新技術を見逃さないように注意したいと思います。
(食品工学研究室 室長 戸塚英夫)
<2004年2月の主な業務>
試験・研究・調査
果実びん詰製品の食品添加物調査
加熱処理条件が玄米粥中におけるボツリヌス菌の発育に及ぼす影響
容器包材の酸素透過度がボツリヌス菌の発育に及ぼす影響
熱伝達シミュレーションへの並列分散処理の応用
インターネットによる情報管理
依頼試験
新規受付39件、前月より繰り越し11件、合計50件、うち完了20件、来月へ繰り越し30件
主要項目:異物鑑定、成分分析(揮発性成分、栄養成分、油脂成分、重金属)、微生物接種試験、菌株同定、カビ同定、菌数測定、変敗原因究明、容器性能試験、熱伝達試験、FDA工場登録関係、バイオテロ法によるFDA施設登録、通関統計データ処理、文献複写その他
チルド食品・食品包装プロセス研究会業務(情報誌作成、会議準備)
主任技術者講習会(品質管理:講師担当)
会議(ビジョン検討会、水産学会水産利用懇話会、厚生労働省科学研究分担研究)
講演会(食のリスクコミュニケーション意見交換会、食の安全対策セミナー、IFTジャパンセクション)
缶詰品評会事務局業務
会員企業訪問意見交換
会員サービス他(電話、電子メール回答)