(缶詰時報 2006年7月号掲載)

年度が始まり、あっという間に2ヵ月が過ぎました。生活や仕事、共に新しいことをしようと考えるのですが、なかなか思うようにはいきません。私だけではなく、日々の生活にゆとりがないと感じている人が多いのではないでしょうか。

近よく、ロハス(Lifestyles Of Health And Sustainabilityの頭文字を使った造語)という言葉を耳にします。この意味は自然環境と人間の健康を優先し、持続可能な社会のあり方に関心の高い人々の生活様式とされています。一般的なイメージとしては、省エネやゴミの減量化といった自然環境保全、自然志向の生活、安全・安心な食品の選択、規則正しい生活、自身の健康を維持し、精神的ゆとりのある生活などが想像できます。

た、知らなかったのですが、「LOHAS」という言葉は、自然・健康志向の代名詞のように、世間に広く一般名詞化していうるのにも関わらず、本来はビジネスマーケティングのコンセプトで、日本においては登録商標として権利化され、簡単に使うことは許可されていません。

本成人の29%が生活にゆとりを持ち、環境に優しい製品、健康に良い食品を購入する志向を持つロハス層だといわれています。

身の消費生活を振り返ってみると、確かに、生活用品では省エネ、エコ製品を購入する傾向にあり、食品についても、なるべく国産、有機、無農薬といったラベルのあるものを選ぶことが多いと感じます。

た、環境対応製品が少し割高でも、それらを購入することで安心し、ロハス的であると思う反面、どのくらい環境に配慮しているのか、人間の健康にどんな効果があるのかは理解していないのが現状です。

品に関わる者としては、食品の安全性について、深く考えなければなりません。当微生物研究室の業務では、主に容器詰食品の微生物的危害について対応しています。食品の変敗原因菌の多くは土壌、水などの自然環境から由来しており、多種多様な食品製造に関わる技術と微生物検査技術の進歩と共に問題となる名前の知らない微生物が次々と分類されています。それら新規微生物の生化学的性状や耐熱性について検討する必要があり、新たな問題解決の日々が続いております。これからは、最終製品中の微生物だけでなく、ゆとりを持って自然環境にも目を向けていきたいと思います。
 

(食品微生物学研究室研究員 山口敏季)


<2006年5月の主な業務>

試験・研究・調査

  1. アスタキサンチンに関する研究

  2. バチルス属細菌の耐熱性測定

  3. 食品の回転殺菌における熱伝達

  4. オンライン情報検索

  5. インターネットによる情報管理

  6. データベースの実用化

依頼試験

 新規受付46件、前月より繰り越し21件、合計67件。うち完了26件、来月へ繰り越し41件。

主要項目:貯蔵試験、分析(栄養成分、有機酸組成)、異物検定、膨張原因究明、定量(ナトリウム、金属)、微生物接種試験、菌株同定、変敗原因究明、耐熱性測定、菌株分与、容器性能試験、FDA施設登録、殺菌条件申告、英文証明書作成、通関統計データ処理

その他

  1. HACCP講習会講師担当

  2. 研究会(チルド・食品包装プロセス、情報誌原稿作成)

  3. FDA管理サービス関連業務

  4. テレビ局取材協力

  5. 会員サービス他(技術指導、文献調査、見学、電話、電子メール回答)


登録:2006/7/12
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