(缶詰時報 2007年3月号掲載) |
新年早々、消費期限切れの原料を使用して製造した洋菓子のニュースが報道されました。とくに食中毒の原因になったわけではありませんが連日の報道となり、はや1ヵ月が経過しました。2000年に発生した加工乳による黄色ブドウ球菌のエンテロトキシンによる食中毒以来の事件となっているようです。食品業界にとっては到底ありがたくない報道ですが、その後、堰をきったように回収やお詫びの広告が続いています。どうしたことでしょうか。加工乳による食中毒事件以後、消費者の食に対する安心・安全、安全・安心を掲げて信頼回復に努力してきたはずではなかったのでしょうか。消費者に安全な食品を提供するために、HACCPやISOを導入して製造自主管理をマニュアル化したはずではなかったのでしょうか。自主管理として管理目標を決定した以上はその基準は遵守しなければなりません。遵守できないのであれば絵に描いた餅でしょう。結局、マニュアル化しても作る側とそのことを実行する側はいずれもヒトですからできることとできないことは明確に区別する必要があると思います。当然、努力して到達できる目標値は設定すべきと考えますが。
まずは現状を把握すべきではないでしょうか。一連の報道で生菌数の基準値が国の10倍に設定されていたことが取り上げられ、新しくマニュアルを編集したときに打ち間違ってゼロが一つ多くなってしまい訂正しないままの規格となってしまったとか。細菌検査に携わるものとしては、株の誤発注事件をヒントにしたわけではないでしょうが、到底納得できるものではありません。仮に、マニュアルが新しくなり、細菌検査員も新しく登用され、その検査結果を判断する立場にあるヒトも新たに担当するようになったとすればそれなりに納得できないことはないでしょうが。規格や基準が変更になれば実務担当者には当然のことながら説明が必要で、実務者も何故との疑問が沸くのは至極当たり前のことではないでしょうか。商品の生菌数が規格内で製造できないのであれば製造を止めるか、製造方法を見直ししなければならないことは当然とは思いますが。細菌検査とはとても軽い存在のようです。
(食品微生物学研究室 大久保良子)
<2007年1月の主な業務>
試験・研究・調査
有芽胞乳酸菌の芽胞形成用培地の検討
食品の通電加熱
インターネットによる情報管理
データベースの実用化
依頼試験
新規受付26件、前月より繰り越し21件、合計47件。うち完了22件、来月へ繰り越し25件。
主要項目:貯蔵試験、分析(栄養成分、揮発性成分、ヘッドスペースガス)、異物検定、品質評価、塗膜量測定、微生物接種試験、菌株同定、変敗原因究明、耐熱性試験、毒性試験、細菌試験、容器性能試験、容器密封性状、堅さ測定、研修、FDA殺菌条件申告、英文証明書作成、ホームページ管理、通関統計データ処理
その他
缶詰業界賀詞交換会出席
HACCP講習会開催講師担当
研究会(チルド食品・食品包装プロセス)関係業務
レトルト性能検査
FDA管理サービス関連業務
会員サービス他(技術指導、文献調査、見学応対、電話、電子メール回答)