(缶詰時報 2008年5月号掲載)

々暖かくなり、葉も色付き山肌や街並み、服装なども様変わりして春を実感しています。色は季節によって様変わりしますが、食品にとっても色は重要な因子の一つです。緑、黄、赤、白など様々な色が食卓を彩ることによって食べることの楽しさを与えてくれます。

品の色には様々なものがあり、緑系のクロロフィル、赤系のカロチノイドやアントシアン、黄色系のフラボノイドなどがあります。種類的には多くありませんが、個別の成分に関してはかなりの数があります。また、脂溶性や水溶性などの違いもあり、それぞれ特徴がみられます。

詰やパウチなどでは加熱殺菌が施されますが、クロロフィルは熱に弱い特徴があります。クロロフィルは分子中にマグネシウムが含まれていますが、加熱するとマグネシウムが離脱して緑色ではなくなってしまいます。それ以外の色素は熱に比較的強いものですが、カロチノイドなどは酸素の影響を受け易い成分です。抽出したものが酸素に触れると速やかに退色することが観察されます。

色素成分の中には無色のものもあります。無色ではあるが、構造的に色素成分であるため色素成分として扱われています。代表的なものにはタンニンがあります。タンニンはお茶や渋柿などに含まれている成分で、ポリフェノール構造を有しています。渋味が特徴であり、金属と反応すると黒くなってしまいます。また、洋梨缶詰が赤くなることがありますが、これは無色のロイコアントシアニンがアントシアニンに変化するためです。色素成分は彩を与えてくれるものですが、変色にも関与するため取り扱いには注意しなければなりません。

ューリップの歌には赤、青、黄色とありますが、食品で青いものはほとんどみられません。これは青色の成分が自然界では少ないためですが、フィコシアニンという海藻類に含まれる成分は鮮やかな青色です。この色素は水溶性ですが、タンパクと結合して鮮やかな青色となっています。加熱するとタンパクが変性して退色してしまいますので、缶詰には使用できませんが、菓子類などで使用されています。最近では青いバラなども開発されており、青が食卓を彩る可能性もありますが、保守的な筆者には想像できません。

(食品化学研究室 武田 淳)


<2008年3月の主な業務>

試験・研究・調査

  1. 果実類の有機酸組成および陰イオン組成等の分析

  2. 交流高電界加熱による耐熱性細菌芽胞の挙動(会員企業との共同研究) 

  3. カムアップ時におけるレトルトの温度分布測定

  4. インターネットによる情報管理

  5. データベースの実用化

依頼試験

 新規受付44件、前月より繰り越し21件、合計65件。うち完了31件、来月へ繰り越し34件。

主要項目:貯蔵試験、分析(ヘッドスペースガス、栄養成分等)、付着物同定、異物検定、スズ定量、原因究明(腐食、変色、異臭、発錆、変敗)、開缶調査、試製、研修、微生物接種試験、耐熱性試験、細菌試験、菌株分与、菌株同定、芽胞液の調整、かたさ測定、容器性能試験、FDA殺菌条件申告、FDA施設管理登録、英文証明書作成、ホームページ管理、通関統計データ処理

その他

  1. 講習会(HACCP開催講師担当および査定業務)

  2. 北海道缶詰協会主催「殺菌・品質管理講習会」講師担当

  3. 工業技術会主催講習会講師担当

  4. 講演会聴講(食品に関するリスクコミュニケーション−食品中の鉛について−、食の安全・安心を考えるシンポジウム)

  5. 研究会(チルド食品会議開催、情報誌原稿作成)

  6. 産業廃棄物処理関係業務

  7. FDA管理サービス関連業務

  8. 会員サービス他(技術指導、文献調査、見学応対、電話、電子メール回答)


Update 2008/5/14

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