(缶詰時報 2009年6月号掲載)

年のゴールデンウィークは、新型インフルエンザがメキシコで発生し、「日本にも上陸?!」と、マスコミは大騒ぎでした。感染を疑われた横浜の高校生は、北米研修旅行から帰国した直後のため、新型インフルエンザを輸入したと抗議が集中し、非感染と判明した時の校長先生の涙は印象的でした。しかし、すぐに、別ルートから日本に上陸したのは、ご承知のとおりです。

回のような海外旅行者以外にも、海外に滞在する日本人は多く、日本食が健康食として定着している米国ですが、米国に日本の食品を輸出しようとすると多くの規則があり、スムーズにはいきません。

とえば、 2003年12月から施行された公衆衛生安全保障バイオテロリズム法は、今回のインフルエンザ問題よりずっと深刻な、米国の食品供給をテロの脅威より守るため、米国保健福祉省長官が義務づけたものです。これによって、米国に食品や飲料を発送する場合には、1.米国で人または動物に供される食品を生産・処理、包装、または保管する国内外の施設は全てFDA(米国食品医薬品局)に登録すること。および、2.発送前にFDAに事前通知を行う事が義務付けられています。問題は、外国企業に義務付けられた米国在住の代理人の確保でした。本会では、代理人を確保しFDAに施設を登録する手続きを行っております。

1974年施行の低酸性缶詰食品および酸性化食品取締り規則は、密封容器詰という、缶詰レトルト食品が主な対象になることから、当初から本会研究所で工場の登録や製品の殺菌条件申告を行っております。殺菌主任技術者の資格取得者が管理する必要があることから、毎年講習会も開催しております。

在、通常の加圧加熱殺菌による製品は、研究所に依頼された場合、1ヶ月程度で登録を完了します。

かし、最近は、ペットボトル飲料や酸性化食品の登録依頼が集中しています。こちらは、スムーズとはいきません。たとえば、無菌化包装によるペットボトル入り低酸性飲料はボツリヌス接種試験が必要で、当該製品にボツリヌス菌を接種し、賞味期限の1.5倍の試験期間となり2〜3年を要します。

性化食品(低酸性食品に酸あるいは酸性食品を添加し、pH4.6以下に調整した水分活性0.85を超えるもの)を申告する場合、 最終製品のpH測定データが必要で、その期間は、数ヶ月〜1年となります。

お、無菌充填製品については、無菌充填装置の証明が必要なため、本会では対応しておりません。米国のコンサルタント会社に依頼した場合の費用は、2,000万円は必要です。ご要望があれば、紹介いたします。

 

 (食品工学研究室 細井順子)


<2009年4月の主な業務>

試験・研究・調査

  1. トランス脂肪酸に関する研究

  2. 果実・野菜類の品質成分に関する調査

  3. 変敗品から分離したC. thermosaccharolyticum の耐熱性

  4. 連続式通電加熱における振動の影響

  5. インターネットによる情報管理

  6. データベースの実用化

依頼試験

 新規受付25件、前月より繰り越し13件、合計38件。うち完了26件、来月へ繰り越し12件。

主要項目:貯蔵試験、ヒスタミン定量、分析(栄養成分、有機酸組成)、測定(油脂特数、揮発性塩基窒素、粘度)、異物検定、原因究明(同定、変色、膨張、変敗)、耐熱性試験、菌株分与、無菌試験、容器性状観察、容器性能試験、英文証明書作成、ホームページ管理、通関統計データ処理

その他

  1. 基礎技術講習会開催講師担当

  2. 日本食品微生物学会理事会出席

  3. 農林水産省研修担当業務

  4. IFT特別講演会聴講

  5. 食品新技術研究会第7回例会聴講

  6. 平成20年度事業報告作成業務

  7. Keith Ito氏との対米輸出製品に関する情報交換

  8. 研究会(チルド食品・情報原稿作成、食品包装プロセス・情報誌発送業務)

  9. FDA管理サービス関連業務

  10. 雑誌PDFファイル化作業

  11. 会員サービス他(技術相談、文献調査、見学応対、電話、電子メール回答)


Update 2009/6/10

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