(缶詰時報 2009年9月号掲載) |
夏になると、つい冷たいものばかり摂ってしまい夏バテ気味になるという方も多いのではないでしょうか。夏バテ防止の食べ物として思いつくものは、やはりうなぎです。今年の夏は土用の丑の日が7月19日と7月31日の2日ありましたので、うなぎを食べたという方も多いのではないでしょうか。私が小学生くらいの時は「土用の丑の日」を「土曜の牛の日」と勘違いしていて、なぜ牛肉ではなくてうなぎなんだろうと不思議に感じたことを思い出します。いつ頃から土用の丑の日にうなぎを食べるようになったのかを調べてみますと、江戸時代に丑の日に「う」のつく食べ物を食べると病気にならないという言い伝えから、うなぎ屋が宣伝したのが始まりのようです。
うなぎの蒲焼について五訂増補日本食品標準成分表で調べてみますと100g当たりタンパク質23g、脂質21gと多く、他の魚介類に比べるとビタミンAやビタミンB1、B2も多く含まれていることがわかります。脂肪酸組成についても100g当たりEPAが750mg、DHAが1,300mgと多く含まれています。DHAやEPAは脳の活性化やコレステロールの上昇抑制、中性脂肪上昇抑制などに効果があるとされる成分です。
たしかに夏バテ防止に役立つ栄養価の高い食品だということがいえますが、栄養価が高いから食べるというよりも美味しいから食べるという方がほとんどではないでしょうか。江戸時代から続く土用の丑の日にうなぎを食べるという習慣もうなぎの美味しさと日常的に食べられない高級感があって定着したのだろうと思います。このように美味しくて栄養価が高いということは食品にとって理想的であり、重要なことだと考えます。ただし、うなぎは比較的カロリーが高いですから食べ過ぎには気を付けなければいけません。
うなぎといえば梅干との食べ合わせがよくないので一緒に食べてはいけないと言われますが、これには医学的な根拠はないようです。このような噂が広まった説としていろいろと言われていますが、一説には梅干を食べると胃酸の分泌が多くなり食欲が出て、うなぎをたくさん食べることになるからという贅沢を戒めるものもあるそうです。親の立場からするとこの説が正解のように感じられます。
(食品化学研究室 山崎良行)
<2009年7月の主な業務>
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Update 2009/9/4 |
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