(缶詰時報 2009年11月号掲載) |
当会では30誌を超える国内外の学会誌や商業誌を定期購読しています。また、各機関から研究報告書を寄贈いただくなど、図書室は潤いを増しています。蔵書雑誌の古くは1930年代発行のものもあり、創立80年を越える歴史が感じられます。
当所にて所蔵していない文献は外部の専門機関に依頼して入手することもありますが、近年では、相次いで公開される電子ジャーナルの恩恵に与る機会が増えています。独立行政法人科学技術振興機構(JST)による「Journal@rchive(ジャーナルアーカイブ)」もその一つで、こちらは国内の学協会学術雑誌が概ね創刊号より閲覧できるサイトとなっています。単に誌面をスキャンしただけではなく、OCR(光学式文字読み取り)による全文テキスト付きPDFとして公開され、さらに書誌(記事標題、著者名、掲載誌名、巻、号、ページ)や抄録などの情報も付されていますので、詳細検索も可能です。関係誌では、日本水産学会誌、日本農芸化学会誌、日本食品科学工学会誌なども現在公開されています。最近の号については、同じくJSTによる「J-STAGE(ジェイステージ)」にて一部を除き無償で提供され、両サービスの相互リンクにより活用の幅が広がっています。
本年4月、国立情報学研究所による「CiNii(論文情報ナビゲータ[サイニィ])」がGoogle風のトップページにリニューアルされたという話題も記憶に新しいところです。こちらは、学協会刊行物、大学研究紀要、国立国会図書館の雑誌記事索引データベースなどを検索の対象とした学術論文情報データベースサービスです。現在公表されている2009年4月1日時点の情報によりますと、約1,200万件の学術情報が検索可能で、そのうち320万件は論文本文も一部は無償にて閲覧できるようになっています。Journal@rchiveやJ-STAGEなどとのデータベース統合作業も随時すすめられていますので、今後ますます利便性が増すものと思われます。
海外の文献についても、日本の一処に留まりながらにして容易に得られることに毎々感銘を受けます。電子ジャーナル化の取り組みは、海外において動きが活発ですし、日本においても、インターネット上の雑誌論文、図書、研究者に関する情報、研究課題、研究成果等、また、点在する各種学術情報を連携させ、研究に必要な情報を総合的に利用できる環境の構築が進められていますので、各国、各機関の連携による更なるサービスの進化にも期待が高まります。世界中に張り巡らされたウェブが研究環境を、さらには研究自体までをも大きく変えてゆくのかもしれません。
(情報管理研究室 加藤睦美)
<2009年9月の主な業務>
|
Update 2009/11/10 |
|
Copyright (c) 2009, 日本缶詰びん詰レトルト食品協会 / Japan Canners Association, All rights reserved |