(缶詰時報 2010年2月号掲載) |
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昨年の12月、16年ぶりに米国FDAによる日本の缶詰工場の査察が実施されました。前回はLACF(低酸性缶詰食品)規則に則り33工場の査察を受けたのですが、今回の査察は水産食品HACCPが対象だったので缶詰関係は1工場だけでした。対象工場は少なかったものの最初は情報不足で困りました。日程すら11月から12月の2日間としかわかりませんでした。この時期は技術大会やワークショップなどもありましたが、幸いにも査察は予定のない日に決まりました。
前回のFDA査察に同行した経験もあり、FDA査察の手順は見当が付いていました。また、16年前と異なり現在は日本でもHACCPが普及しているので、この方面は安心でした。しかし、最後まで心配だったのは英語の通訳でした。前回は研究所のスタッフが通訳としても活躍しましたが、現在はあいにく通訳の経験者がいません。そこで、大学院時代に外国人留学生とよく英会話をしていたスタッフが行う予定にしていました。
しかし、査察の間際になって今度の査察官に通訳が同行しているという情報が入りました。現地の工場最寄り駅で待ち合わせをしていると、米国人の査察官と日本人女性と思われる二人組が降りてきました。外見で判断すると査察官はフレンドリーそうなので安心しました。通訳の女性は日本在住ではなく査察のために米国から来た方でした。この通訳のおかげで無事にコミュニケーションがとれました。しかし、FDAの通訳が同行するのは今回が特例で、FDAの査察が決まったらやはり基本的には通訳を準備する必要があるようです。
査察自体も順調に進みました。各種の記録やSSOPのマニュアルなども整理整頓されていましたし、聞き取り調査でも「回収事故はないようだが回収しなければならない事態を想定してその訓練をしているか?」など盲点をつかれたような質問にも工場の方が的確に応答したためと思います。私も加熱殺菌の重要管理因子を設定したプロセスオーソリティとして働いたつもりです。今回は改めてその責任の重さを感じました。この工場は大きな問題点もなく改善事項もすぐに解決できることだけでしたが、他の缶詰工場もいつFDAの査察官が来ても大丈夫だと信じています。
(食品工学研究室長 戸塚英夫)
<2009年12月の主な業務>
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Update 2010/2/8 |
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