(缶詰時報 2010年12月号掲載) |
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今年の日本は記録的な猛暑になりましたが、諸外国では噴火や地震などの自然災害が多く発生しました。ニュースとして印象に残るのは8月5日にチリの鉱山で起きた落盤事故です。事故後に地下700mで33名の生存が確認され、発生から69日後に全員が無事救出されました。報道資料によると当初の食事は「48時間ごとにマグロの缶詰を小ぶりのスプーンに2杯、牛乳を一口、ビスケットを1枚」であったとあり、缶詰の保存食としての優等生ぶりが伺えます。
大規模な災害を想定すると各家庭の3日分の食料と水の備えが必要とされています。これは情報の整理や移動手段が決まり、3日後には救援隊が到着していると想定されているためです。非常食に関しては缶詰を代表とする常温流通食品になりますが、精神的な負担を考え複数の種類のものを用意することも指摘されています。量・種類共に少なく、チリの鉱山の方の精神的負担はものすごいことになっていたと想像されます。
筆者自身は美食家ではありませんが、外出した際にはその土地のものを選ぶようにしています。その参考になるよう、お会いした方に美味しくてもう一度食べてみたいものやそのお店をお聞きすることがあります。その答えとしては高級な魚介類や肉などもありますが、焼き鳥、そばやうどんなど比較的価格が安く、身近なものを多くの方が挙げられます。慣れた味の中でも美味しいと感じることで忘れられないものとなったのでしょうか。また、海外出張から帰ってきたときには決めているものがあるという方もいらっしゃいます。それを食べることによって帰ってきたことを実感するそうです。
食の楽しみ方は様々ですが、チリの事故や災害地域の映像、今話題の戦場カメラマンの話を聞いていると、日々食べられることは本当に幸せなのだと思います。原料から食卓まで、関わって頂いた全ての人々に感謝する次第です。
(食品化学研究室 武田 淳)
<2010年10月の主な業務>
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Update 2010/12/10 |
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