(缶詰時報 2011年2月号掲載) |
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西暦2011年が明け、21世紀になってはや10年がすぎました。20世紀中頃に生まれた私にとっては、未来圏と考えていた時代になりました。
1804年にNicholas Appertにより加熱殺菌が実用化され、1810年にPeter Durandらにより食品を密封する容器として金属缶が開発されてから、缶詰は200年以上も製造し続けられていることになります。その間、加熱殺菌と密封という基本原理は変わらないものの缶詰は少しずつ変化してきました。最初はハンダ付けで密封したホールアンドキャップ缶だったのが、現在ではPETフィルムをラミネートした缶材やスクリューキャップで密封する缶まで登場しました。殺菌装置も改良され様々な機種が開発されています。また、科学的にも加熱によりどのように殺菌されるかBigelow、 Esty、 Ballなどにより理論的に解明されてきました。このような優れた先人達のおかげで、缶詰やその製造方法は現在の姿になったわけです。
逆に現在はこのような技術や科学の結晶である缶詰を改良しようとしても、なかなか困難な時代になっているかもしれません。何をすれば良いのかわからない閉塞感みたいなことを感じることがないとはいえません。
しかし、缶詰の技術や理論はまだ完成されたわけではないですし、時代が変われば要求されることも変化するでしょう。新技術が新技術を生むこともあります。チャレンジすることはまだあるはずです。現実は理想と比較して足りないことはあるので、その差を無くそうとすることは、いつの時代でも大切なことです。あらゆる力を結集させれば、缶詰を含め技術や科学は今後も進歩可能だと思います。
(食品工学研究室長 戸塚英夫)
<2010年12月の主な業務>
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Update 2011/2/4 |
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