(缶詰時報 2011年3月号掲載) |
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平成23年は例年にない寒さで始まり、お正月早々の「御節料理」事件は衝撃的でした。インターネット上に載せられた写真や書き込みには驚くばかりで、「御節料理」とは何なのかと考えさせられたニュースでした。
今日のようにデパートやスーパーやインターネットで御節料理のお重が販売されていなかった子供の頃、大晦日には御節料理作りを手伝わされ、よくつまみ食いをして叱られたものでした。その御節料理はお正月の三が日に食べ続けて、飽きてしまった記憶があります。御節料理の内容は地方や各家庭によって様々だと思いますが、ほとんどの料理は塩分や糖の濃度が高く水分活性の低い、濃い味付けになっており、保存性はあるが飽きやすい味であることは確かです。
ところで、水分活性は測定装置を用いると簡単に結果を出せるようになりました。それ以前はコンウェイユニットを用いて測定していましたが、この方法ではアルコール含有の試料が測定できないことや、時間と手間が掛かるなどの理由から採用しなくなりました。
簡単な方法なので少し説明しますと、コンウェイユニットの外側部分には水分活性が既知の試薬に少量の蒸留水を加えておきます。中心部分には秤量した試料を入れ、蓋をした後25℃で2時間放置します。放置後の試料重量を測定して放置前後の変化量を求めます。なお、用いる試薬は想定される試料の水分活性の前後2種類のものです。各試薬の水分活性を横軸に、試料重量の変化量を縦軸にとりグラフにその点を記載します。各点の間に直線を引いて変化量がゼロとなる点が試料の水分活性となります。これは、試薬よりも試料の水分活性が高ければ水分が奪われるので試料重量は減少し、低ければ試料重量は増加することを利用しています。なお、この方法は (社)日本衛生検査協会発行の食品衛生検査指針において平衡重量測定法として記載されています。
機器分析が主流となった今日、こんなアナログな方法の方が測定の原理を理解しやすいのかもしれません。
(食品化学研究室 田口真寿美)
<2011年1月の主な業務>
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Update 2011/3/8 |
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