(缶詰時報 2011年4月号掲載)


年は、米国からFDA係官が来日し、9月に8ヵ所、11月に6ヵ所の登録工場が査察を受けました。

存知の通り、米国は、密封容器詰低酸性食品と酸性化食品の取締規則を制定しています。本会研究所では規則に沿って、工場を登録し、製品の殺菌条件申告を行ってきました。これは、一度申告すれば終了ではなく、FDAは定期的に検査し、海外でも査察に来ることがあります。今回は、16年ぶり2回目でした。

会研究所では、FDAの指定した30工場に、前回の資料をもとにサポートさせていただきました。査察内容は別に報告するとして、この16年間で大きく変わったのは、通信手段の変化です。前回、FDAとの連絡は、FAXを中心に行っていたので、送信された書類を誰かが確認できました。今回は、初回の査察通知がFAXで送信されただけで、それ以降はEメール中心に進められました。Eメールは、受信者本人が、コンピュータを立ち上げて受信フォルダーを開けないと確認できません。


ところが、工場がFDA連絡用に指定したメールアドレスでしたが、「Eメールが届かない」とか、「英文メールはスパムメールと思って削除した」、といったトラブルがありました。幸い、農林水産省からも連絡が入って事なきを得ました。しかし、メールさえスムーズに受信できれば、とても便利です。

とえば、査察日程が急に変更になったことがありましたが、メール連絡があったので何とか対応できました。前回も、FDA係官が突然、査察を中止して帰国したのですが、こちらには連絡が入らず、成田空港に迎えに行って何時間も待っていました。また、査察での指摘に対して、分厚い報告書を作成し、何千円もの送料をかけて発送していましたが、今はパソコンで作成し、資料もすべてメールに添付できるので、安くて簡単、スピーディーです。

のため、「何日以内に報告を」などと、返事が急かされる点は少し困りますが、今後、FDA登録等もオンライン化できれば、従来の書面提出システムより、スムーズに手続きができると考えています。まだ数社の査察が残っております。最後まで、協力して対応していきたいと思います。
  

(食品工学研究室 細井順子)


<2011年2月の主な業務>

試験・研究・調査

  1. 水産缶詰工場のヒスタミンに関する実態調査

  2. 水産缶詰由来のClostridium 属細菌の性状および耐熱性測定

  3. 缶詰食品の熱伝達シミュレーション

依頼試験

 新規受付16件、前月より繰り越し17件、合計33件。うち完了17件、来月へ繰り越し16件。

主要項目:試験(貯蔵、微生物接種、密封性状)、定量(金属、鉄、脂肪)、分析(無機ガス組成、揮発性成分)、異物検定、容器性状観察、原因究明(変色、変敗)、菌株同定、菌株分与、芽胞液の調整、かたさ測定、殺菌処理、英文証明書作成、殺菌条件申告、ホームページ管理、通関統計データ処理

その他

  1. 第87回殺菌管理主任技術者講習会開催、講師担当

  2. バイオチップによる食中毒菌検出キット開発普及協議会出席

  3. 長野県缶びん詰技術講習会および巡回技術相談講師担当

  4. 日本水産学会水産利用懇話会出席および講演聴講

  5. 研究会合同工場見学会

  6. 巻締講習会関連業務

  7. 缶詰食品翻訳作業

  8. FDA管理サービス関連業務

  9. レトルト食品製造技術ワークショップ準備

  10. 本会公式ホームページ更新計画

  11. 会員サービス他(技術相談、文献調査、見学応対、電話、電子メール回答)


Update 2011/4/7

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