(缶詰時報 2011年5月号掲載)


成23年3月11日14時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の巨大地震が発生しました。このいわゆる東日本大震災は、東北から関東までに至る長大な太平洋沿岸地域に甚大なる被害をもたらしました。特に天然の良港といわれてきた三陸沖の宮古、釜石、気仙沼、石巻などは、大津波により地域全体が壊滅的な被害を受けました。その配信される映像はあまりにも悲惨であり、言語を絶します。膨大ながれきの撤去を例にとっても、津波によって流された車や家財は各個人の貴重な財産であり、単純にいかないことから、復旧には相当な苦難があるものと思います。このような状況の中、当該地域の会員企業の方々におかれましては、慎んで心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興を念願致します。

た、今回の震災により福島第一原子力発電所の原子炉冷却系統が機能停止に陥りました。聞くところによると、核反応は地震直後に緊急停止できたとのことですが、冷却水ポンプが作動せず、原子炉内への水の供給が困難になり、その後、今日に至る報道のような結果になったとのことです。過酷な環境の中、不眠不休で事態の収拾に取組んでおられる現場の方々には本当に頭の下がる思いです。


この度の報道で圧力容器内への給水あるいは蒸気排出の専門用語として「ベント」という単語が注目されました。原子炉の圧力容器も核燃料が中に収納されていることを除いては缶詰食品のレトルト殺菌機と同様の操作をしているなと思いました。圧力容器内の温度が300℃を超えた時期もあり、液体の状態で燃料棒を冷却することもままならなかったものと推察されます。

日本の電力不足は長期に渡って続くことが予想されます。ご存知のように東日本と西日本では周波数が異なりますので、そう簡単には電力を融通できないようです。電力不足に対応するには従来の考え方を根本的に見直す必要があります。食品工場においては熱源としてボイラーを設置していますが、発電も併せて可能なコージェネレーションボイラーへの転換、家庭においては太陽光発電や都市ガスを利用した燃料電池の設置など、今後は電力を自前で確保する時代になるかも知れません。
  

(食品工学研究室 五味雄一郎)


<2011年3月の主な業務>

試験・研究・調査

  1. トランス脂肪酸に関する研究

  2. 水産加工品中のヒスタミン含有濃度実態調査

  3. 水産缶詰由来の嫌気性有芽胞細菌の性状および耐熱性測定

  4. 缶詰食品の熱伝達シミュレーション

依頼試験

 新規受付11件、前月より繰り越し16件、合計27件。うち完了17件、来月へ繰り越し10件。

主要項目:試験(貯蔵、微生物接種、密封性状、容器性能)、定量(鉄、脂肪)、揮発性成分分析、異物検定、容器性状観察、原因究明(腐食、膨脹、異臭、変色、変敗)、品質評価、芽胞液の調製、かたさ測定、殺菌処理、英文証明書作成、ホームページ管理、通関統計データ処理

その他

  1. 廃棄試薬および産業廃棄物処理関係業務

  2. 北海道缶詰協会主催「殺菌・品質管理講習会」講師担当

  3. 巻締講習会査定業務

  4. (社)農林水産先端技術産業振興センター主催「食品産業技術ロードマップ」発表会聴講

  5. 日本食品微生物学会第32回学術総会実行委員会業務

  6. レトルト食品製造技術ワークショップ開催

  7. IFTジャパン役員会、講演会聴講

  8. 缶詰食品翻訳作業

  9. 台湾国輸入缶詰の規制関連業務

  10. 食品包装プロセス研究会情報誌発行

  11. FDA管理サービス関連業務

  12. 本会公式ホームページ更新計画

  13. 会員サービス他(技術相談、文献調査、見学応対、電話、電子メール回答)


Update 2011/4/28

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