(缶詰時報 2011年10月号掲載) |
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東日本大震災から半年余りが過ぎましたが、時間が経つにつれて地震や津波に関する事、地盤の変動に関する事など、様々な事が解明されてきていますね。今も避難所での生活を余儀なくされている方もいらっしゃるかと思いますが、その避難所では毒性の強いカビが多く発生していたということが分かったようです。一般の家庭ではあまり見られないカビが多く、長時間床に敷いている毛布や段ボールなど、避難所特有の環境下でカビが発生していたそうです。身近で触れる機会の多いものなので、健康被害が心配されます。また、津波の被害を受けた建物や家具などでもカビの被害があり、水につかり湿度が高くなったことでカビが発生しやすい環境になっていたようです。
カビの胞子は空気中を漂っているものなので、条件さえそろってしまえば、どんどん発育してしまいます。その発育するのに欠かせない条件とは、水分、酸素、温度、栄養の4つです。一般的には湿度が80%以上になると発育しやすくなりますが、乾燥を好むカビもいます。
カビは好気性の菌なので酸素が必要です。温度は一般に20〜30℃でよく発育すると言われていますが、種類によっては50℃でも生育できたり、0℃やそれよりも低い温度でも生育できるカビもいたりと様々です。栄養というのは、食品ももちろんそうですが、水垢や石鹸カスなどの汚れやゴミもカビにとっては栄養になります。
こうして見てみますと、私たち人間が日常生活を送っている環境と、カビが好む環境はよく似ているような気がします。だから、家の中でもカビ対策が欠かせなくなるのですね。私も湿気の多い浴室や汚れが残る洗面台などは、換気をしたり、なるべく水滴が残らないようにと心がけてはいるつもりです。それでも、知らない間にうっすら色がついていたり、黒い点になっていたりと目に見える状態になっていた事があったので、その時は改めてカビの生命力に驚かされました。次はこのような状態にならないように、年間を通してのカビ対策をしっかりやっていきたいと思います。
(食品微生物学研究室 P靖子)
<2011年8月の主な業務>
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Update 2011/10/7 |
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