(缶詰時報'98年12月号掲載)

 今回は、圧力の単位である「パスカル(Pa)」について、書こうと思います。パスカルは気圧の単位であるヘクトパスカル(hPa)として、一般的にもすっかりおなじみになりました。計量単位の国際的統一を図るために採択された国際単位系(SI)では、圧力の単位としてPaを使います。日本では、計量法の改正により、平成5年から、取引とか証明に関係する法定計量単位にはSIに準拠した単位を使うように義務づけられました。つまり、現在でも圧力の法定計量単位はPaです。これはレトルト付属の圧力計にも適用されます。しかし、平成11年9月30日までは猶予期間で、工学単位のkg/cm2なども使ってかまわないことになってました。

 そこで、平成11年10月1日以降は、Paを使うことが義務づけられます。もう、1年ありません。最近の圧力計は、その辺のことを見越してPaとkg/cm2を併記したものが多いのですが、古いものですとkg/cm2しか書いてないものもあります。Pa用に目盛りを書き換えて校正をすれば使えるかもしれませんが、古い圧力計では精度も悪くなっていることも考えられます。これを機会に交換した方がいいかもしれません。

 また、kg/cm2からPaへの切り替えでは、人間の感覚面からなじむのに時間がかかると思います。気圧の単位がミリバール(mbar)からhPaに替わったときは、数値自体は同じ(例えば1010mbar=1010hPa)なので、何も換算する必要がありませんでした。しかし、kg/cm2からPaにするときは、次のような換算が必要になります。

   1kg/cm2=0.098MPa(0.98×105Pa)

 この換算は、105には適当な接頭語がないのでM(106)を使うことと、重力加速度9.8m/s2が絡むためのものです。例えば2.0kg/cm2は0.196MPaと表現することになります。慣れるまで大変かもしれません。しかし、本来は合理化のために行ったはずの単位の変更のために、圧力設定ミスなどのトラブルが発生しないことが望まれます。

(第3研究室室長 戸塚 英夫)


<'98年10月の主な業務>

試験・研究・調査

  1. 旗影会助成「卵黄リゾレシチンの抗菌効果」
  2. 同「コーンの加工によるフレーバーの変化」
  3. レトルト食品のシングリングに関する研究
  4. 缶・びん詰、レトルト食品製造技術調査
  5. オンライン情報検索
  6. インターネットによる食品情報検索
  7. データベースの実用化
依頼試験
 新規受付18件、前月より繰り越し22件、合計40件。うち完了18件、来月へ繰り越し22件
 主要項目:貯蔵試験、栄養分析、ヒスタミン定量、腐食原因究明、穿孔原因究明、変質原因究明、変敗原因究明、接種試験、菌株同定、熱伝達測定、英文証明書作成、研修、通関統計データの処理

その他

  1. 技術大会発表準備
  2. 会員への技術サービス(資料提供、電話回答、面談)
  3. 殺菌主任技術者講習会関連業務
  4. HACCP主任技術者講習会関連業務
  5. チルド食品研究会業務(会議開催等)
  6. 食品加工プロセス関連業務(情報誌発行等)
  7. FDA書類管理サービス
  8. 「缶・びん詰、レトルト食品製造流通基準マニュアル」原稿執筆
  9. レトルト品評会関連業務
  10. 建物補修関係

登録:1998/12/16
(c)1998, (社)日本缶詰びん詰レトルト食品協会 Japan Canners Association