9月の声を聞いても残暑厳しい日が続いています。気象庁によれば、今夏(6〜8月)は北日本で平均気温が高く(7箇所の観測地点では最高値を記録)、一方、九州では日照時問が短く(6箇所の観測地点では最短を記録)、気温も平年並みかやや下回り、“北高南低”となったようです。降水量は西日本や関東などで平年の約1.5倍となり雨の多かった夏だったようです。
夏が暑いと生物が活発になるとでもいうのでしょうか。北海道では腸炎ビブリオによる食中毒が相次ぎました。なかでも生すしによるものでは、営業停止処分を受けていたにもかかわらず営業停止期聞中に注文に応じ、さらに食中毒の発生をみた事例がありました。悪質とでもいうのでしょうか。行政だけでは限界がきているのでしょうか。食品衛生に対して真撃な態度が望まれます。
そんな報道が相次いだせいか“すし屋の日本橋”と呼ばれる界隈では本来ならツアー客の昼食で押すな押すなの大賑わいのはずが、閑散とした光景となってしまったようです。生すしはツアー客の安全を考えれば当面は避けるというのが当然の対策なのでしょう。今後の消費者に対する信頼回復が必要不可欠です。
そんな矢先に千葉県柏市でハヤシライスによるA型ボツリヌス食中毒、さらに大阪でA型ボツリヌス食中毒で重体との記事が報道されました。今夏3件目のボツリヌス中毒の発生です。一咋年の6月には輸入品のオイスターソースからボツリヌスA型菌が検出され、昨年の8月中旬にはイタリア原産のびん詰のオリーブの塩漬けでB型ボツリヌス食中毒が発生しました。また、昨年はペットボトルの清涼飲料水のカビによる変敗事故が多発しました。ここ数年、夏はどうも鬼門のようです。原点に返り、食品の安全性について今一度考える必要があるのではないでしょうか。
第二研究室長
駒木勝