51. 賞味期限が切れた缶詰やびん詰、レトルト食品は食べられますか?

缶詰の大きな特徴の一つとして、製造してから常温でおよそ3年間の長期にわたり保存できることがあげられます。缶のふたには賞味期限を示す日付が表示され、その日付までは「おいしく食べられる」ことをメーカーが保証しています。これは、びん詰やレトルト食品についても同様で、それぞれ半年から1年程度、1年から3年程度の賞味期間を持っています。

しかし、缶詰、びん詰、レトルト食品は賞味期限の日付が経過したからといってすぐに食べられなくなってしまうことはありません。缶詰、びん詰、レトルト食品は密封の後、その主要な製造工程である加熱殺菌により食品の腐敗の原因となる微生物を殺滅しています。このため保管中に新たな微生物が侵入しないかぎり、賞味期限の経過後についても開封しなければ中身が腐ることなく長期間の保存ができます。ただし、「おいしさ」という観点からは、これを保証する賞味期限からの経過期間が長くなるほど期待は薄くなりますが、上記の理由により賞味期限を過ぎた後も食品としての安全性や衛生面については問題ありません。

一方、缶詰、びん詰、レトルト食品の保存に不適切な環境、例えば高温多湿な場所での長期保存は品質の低下をまねきやすく、場合によっては食品としての安全性が損なわれることがありますので、賞味期限を過ぎたものについては、次の点を確認してください(いずれも未開封での確認事項です)。(1)缶詰の場合は缶がさび付いていないか(缶自体が腐食して穴(ピンホール)があき、そこから空気や水分とともに微生物が侵入している場合が考えられます)、(2)ふたや容器が膨らんでいないか((1)などの理由により微生物の汚染を受けるとガスの発生により容器が膨脹することがあります。また、缶詰では缶内面の腐食により水素の発生を伴って膨脹する場合もあります)、(3)ふたを指で押すとペコペコとへこまないか(上記(2)と同様の理由)。

万が一、保存していた缶詰、びん詰、レトルト食品に以上のような状態が見られた場合は十分ご注意の上廃棄してください。また、微生物によって汚染を受けた缶詰は開けると腐敗臭がします。

正常な缶詰、びん詰は、真空に近い状態を保持していますのでふたはややくぼみ気味で、指で押しても硬いものです。異常を見分けるには、上記のように「さび」や「ふたの膨脹」といった、外観の変化に注意してください。

缶詰、びん詰、レトルト食品を上手に保存するには、直射日光のあたる場所や湿気のこもりがちな場所を避け、温度変化の比較的少ない場所を選ぶことをお勧めします。

膨脹した缶詰の廃棄方法
膨脹した缶詰は、そのままにしておきますとガス(水素)により缶内の圧力が高まりやがて破裂します。こうなりますと、思わぬけがをしたり、保管場所を傷つけたり汚したりすることとなりますので、見つけたら早めに処分してください。 処分の際は、缶詰のふたを開けてガスを放出させてください。特にイージーオープン(EO)ふたの場合は、膨脹の程度にもよりますが、少しの衝撃を与えても破裂する場合がありますので慎重に行ってください。

手順といたしましては、ビニール袋などをかぶせて(包んで)から作業しやすい場所に移動しましょう。汚れても良いものであれば雑巾などをかぶせても構いません。そして、開けた時に中身が飛び散ることがありますので、ビニール袋や雑巾をかぶせたままプルタブを起こしてガスを抜きます。ガスが抜けるともう破裂の心配はありませんので、開缶して中身と缶容器を廃棄してください。 缶切りを使って開けるタイプのふたは、上記と同様に保護した後に缶切りなどで一度穴をあけてガスを抜いてください。その後分別して廃棄ください。