新年のご挨拶

西会長あけましておめでとうございます。

昨年は局地的な豪雨による土砂災害や火山の噴火による噴火災害で多くの尊い人命が失われました。また、日本列島を縦断した台風により各地で被害が発生しました。自然環境の変化ならびに自然災害は地球規模で起こっており、大規模な自然災害に対して命を守る行動が重要な課題となっております。

また昨年4月には1997年以来17年ぶりに消費税率が変更され、8%に引き上げられました。日本経済はアベノミクスによりデフレ脱却を目指していますが、昨年3月までは景気回復の兆しがみられたものの、増税後は増税前の駆け込み需要の拡大とは裏腹に消費の低迷が続きました。本年10月には三党合意による10%の消費税率が決定していましたが、日本全体の経済活動を総合的に示す国内総生産(GDP)が昨年の4~6月と7~9月の2期連続でマイナス成長となったため、消費税率の10%への引き上げは2017年4月まで延期されることになりました。この国内総生産は個人消費がおよそ6割を占めており、耐久消費財から食品まで幅広い品目での消費低迷が影響していると指摘されています。景気回復どころか景気後退との見方もされております。

そして安倍政権は昨年11月21日に衆議院を解散しました。新たな政権はどのような政策を打ち出すのか国民の関心が持たれるところです。

社会面では、東日本大震災からの復興、福島第1原子力発電所の今後の処理、原発の再稼働と将来のエネルギー対策、TPP交渉の行方、韓国、中国との関係改善など、課題山積の状況です。また、海外から日本への渡航者が増加傾向にあり、経済的には観光が新たな成長分野として期待されています。一方で、エボラ出血熱やデング熱など世界規模でのヒトの往来への危機管理が重要なキーワードとなっております。

食品業界は、消費増税前の駆け込みにより一旦需要は拡大しましたが、増税後の消費は買い控えなどにより低迷し、不安定な夏の天候が追い打ちをかけた状況となりました。また、円安や原油価格の高騰により原材料やエネルギーがコスト高となり、商品の値上げが相次ぐ状況となっています。一部には乳製品などで品不足が続いています。

一方で、こだわり商材を使用した高付加価値の製品と価格志向による低価格の製品との二極化が進んでおり、両面に対応した製品の投入が鍵となっています。また、期間限定や地域限定の商品が人気を集めている側面もあります。

本会は、昨年4月1日から名称を「日本缶詰びん詰レトルト食品協会」に変更いたしました。事業内容をより明確にするためです。また、公益社団法人に移行して3年目となります。本会は普及啓発事業、調査・情報伝達事業、人材育成・相談事業および研究開発事業の4つの公益目的事業を柱として、会員間の相互扶助を目的とした部会活動等の共益事業や収益事業、そして法人事業にも積極的に取り組んでおります。

昨年の普及啓発事業の活動としましては、8月31日に「防災の日 缶詰、びん詰、レトルト食品フェスティバル」を秋葉原で開催しました。秋葉原での開催は3回目となりました。当日はアレンジレシピコンテストのグランプリ決定戦や協賛企業による生CMコーナーと缶詰博士黒川勇人氏とのコラボセッション、チャリティーカフェコーナーなど多くのイベントに加え、神田消防署、神田消防団と「防災・救急フェア」を共催し、1万名近くの来場をいただきました。来場者の方々には缶詰、びん詰、レトルト食品が、個食、即食、災害食として優れていることを認識していただけたものと思っております。本年も普及啓発活動を積極的に進めてまいります。

調査・情報伝達事業では、国内の缶詰、びん詰、レトルト食品の生産統計や環境問題への対応など情報の収集を行い、缶詰時報やホームページを通じて伝達しております。本年も皆様のお役に立てるような情報の提供に努めてまいります。

人材育成・相談事業では、従来、缶詰、びん詰、レトルト食品に関する基礎技術修得から技術者育成に至るまでの各種講習会を開催しておりますが、昨年12月より新たにプラスチック容器の密封評価のための講習会を開催したところ、多くの会員企業からご参加をいただきました。本年も引き続き人材の育成を通じて技術水準の向上を図ってまいります。

研究開発事業では、缶詰、びん詰、レトルト食品の製造に関する基礎研究や新技術開発について研究を行っております。本年も安全性の確保と品質向上に繋がる研究を続けてまいります。

本会は創立以来、消費者の利益は業界の利益になるとの考えで「缶詰の普及と品質の向上」に取り組んでまいりました。昨年は冷凍食品への農薬混入事件や期限切れの鶏肉を使用した製品の販売などが社会問題となりました。私たちは加工食品に対する消費者の期待を裏切ることのないよう業界団体として誠実を旨とした事業運営に努めております。本年もこの方針を守りつつ事業を行ってまいります。

最後に本年も関係各位に一層のご支援・ご協力をお願いしますとともに、本年が皆様方にとってよりよい年になりますことを祈念しまして、新年のご挨拶といたします。

 

平成27年 元旦

 

公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会
会長 久代会長サイン
(にし ひでのり)

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