令和6年度 逸見賞授賞報文
1. 選考期日
2024(令和6年)年9月5日(木)
2. 授賞報文
♢ 逸見賞(2本)
○ Technique for the identification of insect species in processed foods based on
three short DNA sequences
House Foods Group Inc. Satoshi Watanabe, Noriya Masamura, Takashi Hirao
House Food Analytical Laboratory Inc. Shin-ya Satoh
Food Control Vol.153 (2023)
選考理由;昆虫の混入防止対策には混入した昆虫の種類特定と混入経路の解明が重要であるが、加工食品中では形状がくずれ破片になっていたり、幼虫や卵の状態で混入した場合などは種の判別が困難な場合が多い。
本研究は、近年普及してきているDNAバーコード法を用い、シトクロムC酸化酵素サブユニット(COI)領域の2つのマーカーと16S rRNA領域1つを組み合わせしたプライマーをPCRで増幅し昆虫種を識別する手法を開発したもので、断片化されたサンプルからでも高精度で判別することが可能である。
混入が予想される昆虫類について幅広く検討され、実用性の高い技術であり、食品工場における混入防止対策が高まることが期待されることから、高く評価した。
○ 海藻レトルト食品の栄養成分および抗酸化力に及ぼす製造条件の影響
地方独立行政法人青森県産業技術センター食品総合研究所 宮部好克・落合瞳子
北海道大学 熊谷祐也・岸村栄毅
日本調理科学会誌 Vol.56,No.3 (2023)
選考理由;我が国では海藻は料理素材や加工食品として多く消費されている。近年では食用利用の少ない未・低利用海藻類に関する研究報告が増えている。一方消費量は調理の手間がかかることから減少傾向にある。
本研究は、北日本地域沿岸に分布するダルスとマツモをレトルト加工した際の製造条件が栄養成分と抗酸化力に及ぼす影響について直交表を用いた実験計画法により解析、原材料・包装条件・調味料・加熱条件などの要素が組織の軟化や栄養成分のおよび抗酸化力を保持するために重要な制御要因であることを明らかにしたものである。
未利用資源の有効活用や新たな缶詰、レトルト食品の分野を開拓する上で貴重な知見となることから高く評価した。
3. 選考委員名簿(敬称略)
委員長 | 久田 孝 東京海洋大学 学術研究院教授 |
委員 | 竹永 章生 日本大学 教授 |
〃 | 石原 賢司 (国研)水産研究・教育機構 水産技術研究所 環境・応用部門 水産物応用開発部 付加価値向上グループ長 |
〃 | 佐藤 一弘 東洋製罐グループホールディングス㈱ 綜合研究所 所長 |
〃 | 長嶋 玲 大和製罐㈱ 総合研究所 所長 |
〃 | 田中 光幸 田中技術士事務所 所長 |
〃 | 石川 敦祥 日本缶詰びん詰レトルト食品協会技術委員会 委員長 |
4. 表彰式
2024(令和6年)年11月19日(火)
第73回技術大会開会式席上
[ ホテルクラウンパレス浜松(静岡県浜松市中央区板屋町110-17) ]