ジャムの原材料の特長と、効果・効能

  

あんず
バラ科、ネパール原産
学名:Prunus armeniaca

食欲増進作用、便秘に効果も。
 あんずの原産地はネパールから、中国の山東、山西、河北地方の山岳地帯ですが、植物学者のリンネが、あんずの原産地をアルメニアと間違って、Prunus armeniaca(アルメニアのプラム)と命名したようです。古名はからもも(唐桃)といい、中国では古くから栽培されていましたが、ヨーロッパには1世紀頃に伝わり、多くの品種改良がなされ、18世紀になるとアメリカに伝わり、今ではカリフォルニアが世界的な産地になっています。果実は生食にするほか、干しあんずにしたりジャムやシロップ漬けにして広く利用されています。

 あんずの持つ甘味はブドウ糖や果糖、酸味はリンゴ酸やクエン酸によるものです。こうした有機酸は、胃液の分泌を促進させて消化を助け、食欲を増してくれます。ビタミンではA(カロチン)が多く、ミネラルではリンと鉄が多く含まれています。日もちが悪いので、ジャムや缶詰、干しあんずにされますが、干しあんずには果糖が非常に多くハイカロリーなので、登山、遠足や激しい運動後などに2〜3個食べるだけで元気が回復します。また緩下作用に優れていますので、便秘がちの人は、毎日食べるとよいでしょう。

脳動脈硬化症のボケ予防に期待。
 また、果肉に含まれているアミノ酸の一種のギャバは、脳の血行を良くする作用が知られていますので、脳動脈硬化症Iこよるボケの予防の効果も十分に期待されます。

 昔からあんずは、冷え症に効くことで有名ですが、冷え症で虚弱体質の人は、あんず酒(熟したあんず1kgを洗い水切りしたものを、氷砂糖200gとともに広口びんに入れ、ホワイトリカー1.8Lを注ぐ。6ヶ月後にあんずを取り出す)を就寝前に杯一杯飲めば、体が温まり、滋養強壮作用を発揮してくれます。

 古く中国では、貧しい患者から治療費を取る代わりに、あんずの木を植えさせました。このことから、医者のことを杏林というようになったわけです。(石原結實)

 

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